向き合う。
■髙野尭さんの詩集『 逃散』(七月堂 2020年7月)
向き合う。
■本日2021年1月12日発行のあさひかわ新聞(北のまち新聞社)にて、創刊3周年詩誌『フラジャイル』第10号刊行と二宮清隆さんの第3詩集『海へ』(フラジャイル)について(ともに2021年1月1日発行)、書影とともに、大きく記事にして戴いております。
詩誌『フラジャイル』第10号(3周年記念号)、巻頭詩篇「雪だるまの地平線」を書かれた詩人・渡辺宗子さんの御紹介と、昨年日本詩人クラブの功労会員として顕彰されましたこと。収録させて戴いたサッポロアートラボ〔サラ〕の高橋純先生、柴橋伴夫先生、嵩文彦先生の鼎談「文学における普遍性と特殊性」。「誌上祝賀会」の試みについて。
二宮清隆さんの詩集『海へ』については、詩人のプロフィールも詳しく、木暮純さんによる帯にも触れて戴き、誠にありがとうございます。
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《詩誌「フラジャイル」お取り扱い》
■書肆吉成 様
〒065-0026 札幌市東区北26条東7丁目3-28
http://camenosima.com/
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■こども冨貴堂 様
〒070-0037 北海道旭川市7条通8丁目左2−1
http://fufufunet.kids.coocan.jp/
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■ジュンク堂書店 旭川店 様
〒070-0031 北海道旭川市1条通8−108 4階 ~5階 フィール旭川
https://honto.jp/store/detail_1570068_14HB320.html
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■コーチャンフォー旭川店 様
〒078-8391 北海道旭川市宮前1条2丁目4−1
http://www.coachandfour-asahikawa.jp/
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■ひかるえのぐ書店 様
https://hikaruenogu.thebase.in/
■クロネコヤマトのメール便が、うちは届くのがいつも遅いものですから、1月4日(月)の夜にようやく拝受しまして、見慣れた「弦」の封筒を拝見し、玄関でしばらく立ちすくみ、年末の訃報をいまだ信じられず、情けなく泣いておりました。信じたくない気持ちに向き合わなければならないと、開封する勇気を奮うまで数日かかりました。渡辺宗子さんの最後の「弦」79号。嵩文彦さんと長屋のり子さんの連名の御挨拶文が同封されておりました…胸熱く、誠にありがとうございます。
詩篇「花の好きなうし」、渡辺宗子さんらしい、時代を照射する鋭いまなざし、現在のパンデミックの状況に重ねられるように、10年前の伝染病(口蹄疫)家畜の処理、強制誘導される幾万頭のなかに、動かない一頭を幼い少年の声(うた)だけが導く、レンゲとコスモスに囲まれた、子どもたちの輪と光のイメージ。今新型コロナ感染の時代を生きる、集計される私たちは何に導かれて進むのか。
嵩文彦さんの詩篇「しゅったつ」、新しい時代に踏み進まねばならない試練を人類は経験しています。もう戻れない日、たくさんの笑顔に満ちていた時。「しづかにながれているのだった/花のたそがれのかおりを/たいせつにたくわえた/深淵はかすかなあかるさにうるおっていた」という詩行と「白いバス停」「白い時刻表」という詩句で私が想起するのは、嵩先生も渡辺宗子さんも参加されていた、ある9月の朗読会、小樽白鳥番屋のバス停です。「祝津3丁目」で降りては早すぎて、「祝津」で降りなければなりません。あの白鳥番屋で…当時、私生活が完全に「詩生活」になっており、道内のあらゆる文学のイベントに参加致しておりました柴田を「あなた、仕事があるんじゃないの?こんなことばかりして…」と叱ってくださったのは宗子さんだけでありました(笑)。北海道横超会でもご一緒で「弦」を創められた経緯や御活動の経験について等、何度か貴重なお話を戴きました。宗子さんに言われましたのは、詩誌の活動で大切なのは、例えば有名な方の寄稿を戴くことが目的ではなく、詩のグループの諍いやしがらみでもなく、純粋に詩を読んで、学んで、書いて、発表していくこと。書くことは「秩序に対して挑戦していくこと」、「抵抗と批判の精神」を詩想とすること。お教えは一生忘れません。感謝を言葉では言い尽くせません。申し訳ございません、まだ考えが整理できておりません。また改めて書かせて戴きます。
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ふれきしぶる
フラジャイル
ふれきしぶる
フラジャイル
(木内ゆか『【気密のストロー体】』)
再度、詩人・木内ゆかさん(「詩の牧場」「フラジャイル」同人)の詩集について。「阿吽塾」綾子玖哉氏の発行される、《現代詩書下ろし一詩篇による詩集・懐紙シリーズ》第三集、木内ゆか詩集『【気密のストロー体】』(阿吽塾・2020年12月21日・限定250部)。17ページの一篇が収められた一冊の詩集(「阿吽塾」の新しい試みである《懐紙シリーズ》第一集は小笠原鳥類氏『『吉岡実全詩集』の動物を見る』、第二集は高塚謙太郎氏『詩篇Aa』)。スミカッコ(【】)もタイトルの一部なのでしょうか。「密」が禁じられた今、「鬼滅」ではなく「気密」の、無限のストロー繊維を持つ生き物である私たちの住む、組織体の管だらけの都市に、インプロヴィゼイションの管弦楽またはパイプオルガンによる、モダンジャズの、長い長いソロのような、アイディアに富んだフレーズの応酬を、ありがとうございます。爽やかな粘着質のどろどろとした内部で、語の閃き!を、飽きることなく聴き続けています。インタープレイのような「【自我と非自我】/【ポジとネガ】/【君と僕】とが/入 れ/変 わ/りそう・・」共同と個人、顕在と潜在の意識の透明の通路を光の速さで行き来する、一義的には捉えられない複合を刹那的に生きる瞬間が刻まれているよう。
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残存していたミュージックが【組織】のパイプから立ち昇り
タイルの小宇宙を満たしている。四十度前後で
ストロー繊維の結束はゆるみ ビニール素材もやわらかくなる。ピンク色の
【大根組織】が気道から発する「コエ」の流れはのびやかな夜だ。
蛸も クラゲも 裸電球も ホオズキの中でゆらぐのだった。
組織は綿の布団に包まる。吸盤が目を閉じると
星々がうたう。
(木内ゆか『【気密のストロー体】』)