詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■『コールサック』94号に木暮純の詩作品「ラブホテル街の夜は流れる」が!

■『コールサック』94号、「地底を這う詩の心、羽ばたく」と題された
佐相憲一さんの詩誌評にて、旭川の詩誌「フラジャイル」第2号、
木暮純の詩作品「ラブホテル街の夜は流れる」を、なんと冒頭にてご紹介戴きました☆
誠に、ありがとうございます!!
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■「詩の朗読が発散する各々の激情のなかで、

作者自身のうまくいかなかった日々が回想される。」
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■「反芻することで、会場の興奮と緊張感に甦った記憶は癒されていく」
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■「詩を通じて人間が黒歴史を内側から共鳴する時、
会場周辺のすさんだ空気も前に生きる力の光へと変わるようだ。」
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旭川の詩人、木暮純さんの傑作、ほとんど全文が紹介され、温度が伝えられまして、
嬉しくて、嬉しくて、本当に、ありがとうございます!!

~ 地底を這う詩の心、羽ばたく ~

際限なく夜に織りこまれていく黒歴史たちが贖われ、
生きる力の光へ手放され、大いなる癒しへ導かれますように!!!
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「 ラブホテル街の夜は流れる 」   木暮純
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大都市の路地裏を歩いていた記憶

ラブホテル街にあるライブ会場で
生きづらさを言葉にして
自分の黒歴史を詩人たちが叫ぶ

最前列の真ん中で
わたしはわたしの黒歴史を思い出していた

会場に舞う詩句の断片
抑えつけられ、沈黙するしかなかった日々
金切り声で窓ガラスを割ってしまいたい衝動
一か月分の睡眠薬を飲んでしまった過去
そんな中でも
あてにしていた手紙が届いたときの嬉しさや
生きづらさを言葉にして、
それって分かると言われたときの幸福

みんなつながっているんだ
いいことも悪いことも

注文したグァバジュースを氷が融けるまで
これまで生きてきた遅い速度で飲む
ここにいる自分の体をときどき確かめながら

夜は流れる
ステージに散らばった原稿を拾いあつめ
宝物のように胸に抱く
一文字が生きていく一歩と同じ価値で
一行が一日と同じ重さで
夜は流れる

路地を去るわたしの足音は流されて
ラブホテル街の 灯の明滅と共に
むしろ這いつくばって
左右交互に手足を動かし
泳いでいこうか
この夜のために
*

詩誌「フラジャイル」第2号(2018-03-24)より

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