「 顔 」 柴田望
*
主たる川から向こうの島へ
向こうの島から頭が浜についている所へ
*
お父さんの仕事の都合で
鉄道で
または車で
*
頭が浜についている所から
山奥に入っていく川へ
*
駅のホームに弟の友達が
大勢詰めかけたり
さっきまで夏だったのに
トンネルをくぐったら
突然、雪景色になったりして
*
合川から向う地へ
通路、喉または薬から
月日の出る…秋の…波立つ川へ
*
日産サニーかトヨタカムリで
助手席にちいちゃんはいて
後部座席にお母さんと弟がいて
遠くの道が濡れて見えた
「雨が降っているのかな?」
「違うよ、太陽の光が反射しているのだよ…」
*
そのとき、何かが語ってくれた
どんな言葉か憶えていないけれど
子どもにもわかりやすい不思議な言葉で
仕組みを語ってくれた
(世界が水と光でできていると思った)
*
次の町で雨が降ってきた
あの道の光は消えてしまった
*
その次の町で雨はやんだ
虹のアーチをちいちゃんとお父さんはくぐった
*
弟とお母さんもくぐった
そのときの
四人の
*
11月に旭川文学資料館にて行われる旭川詩人クラブ詩画展のために
「空」をテーマにした展示
2018-09-21.