詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

「 顔 」 柴田望  11月に旭川文学資料館にて行われる旭川詩人クラブ詩画展のために

「 顔 」            柴田望
*

主たる川から向こうの島へ
向こうの島から頭が浜についている所へ
*

お父さんの仕事の都合で
鉄道で
または車で
*

頭が浜についている所から
山奥に入っていく川へ
*

駅のホームに弟の友達が
大勢詰めかけたり
さっきまで夏だったのに
トンネルをくぐったら
突然、雪景色になったりして
*

合川から向う地へ
通路、喉または薬から
月日の出る…秋の…波立つ川へ
*

日産サニーかトヨタカムリで
助手席にちいちゃんはいて
後部座席にお母さんと弟がいて
遠くの道が濡れて見えた
「雨が降っているのかな?」
「違うよ、太陽の光が反射しているのだよ…」
*

そのとき、何かが語ってくれた
どんな言葉か憶えていないけれど
子どもにもわかりやすい不思議な言葉で
仕組みを語ってくれた
(世界が水と光でできていると思った)
*

次の町で雨が降ってきた
あの道の光は消えてしまった
*

その次の町で雨はやんだ
虹のアーチをちいちゃんとお父さんはくぐった
*

弟とお母さんもくぐった
そのときの
四人の
*

11月に旭川文学資料館にて行われる旭川詩人クラブ詩画展のために
「空」をテーマにした展示

2018-09-21.

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