詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

北海道詩人協会「北の詩祭2018~小熊秀雄・北の詩人たちよ しゃべり捲れ」2018年11月10日(土)

■11月10日(土)、北海道詩人協会の「北の詩祭2018~小熊秀雄・北の詩人たちよ しゃべり捲れ」が、札幌エルプラザ4F大研修場にて、13時より行われました。全道より詩人の皆さんが集う、年に一度の大きな催しです。
 
■最初に村田譲会長からのご挨拶。例年の「北の詩祭」が短い時間で何もかも盛りだくさん過ぎたという反省から、2回に分けられ、『北海道詩集』の合評会は本日は行わず、5月に行われるとのこと。あ、いいかも!と思いました。朗読、詩の言葉に溢れる会になりそう。すると『北海道詩集2018』は次回までにしっかり読み込めばいいわけです。やる気が涌きます。
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■第一部、旭川より東延江さんの講演(最初に元NHK旭川支局長の那須さんからご挨拶がありました)。直筆の表紙に収められた資料『旭川時代の小熊秀雄-交友関係を中心に』。小熊秀雄旭川を一番よく知っている小池栄寿先生の日記を中心に。小池先生は冨田正一さんの恩師。伝説的詩誌『情緒』に掲載された「小熊秀雄の交友日記」から、詩人たちがいかに色んな場所で飲んだり食べたりして詩を盛んに詠みあったか、酒造や醸造屋さん、地域のお金持ちの方たちの応援もあったりと微笑ましく凄まじく。悪魔詩社時代の小熊秀雄と活動をともにした平岡敏男著「炎の時灰の時」のこと、鈴木政輝、下村保太郎、中家ひとみ、入江好之、松下文子、詩の聖地だった旭川のこと、熱き講演。2年前に初めて東さんの講演を拝聴した後、長年住んでいた旭川という街の見方が大きく変わったこと、ぜひ東さんが館長をされている文学資料館へ御越し戴きたいこと、皆様へ発言させて戴きました。
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■第二部、菅原みえ子さんの司会にて、6人の詩人による小熊作品朗読。テンポよく若々しく優しき「蹄鉄屋の歌」小篠真琴さん、透き通る美しい声の波形に胸震えました「星の光りのように」鷲谷みどりさん、次に柴田が「しゃべり捲れ」を暗唱熱演?降りてきた、と褒め戴きましたが、どうだったか…。加藤茶津美さんの朗読で「親不孝なイソクツキ」小熊の童話の才能もすっと伝わる。他人の詩だから読めるけど自分では恥ずかしくて書けないという納得のコメント坂上審亮さんの「女の強さを愛してゐる」、番場早苗さんの「親と子の歌」(遺作)に胸打たれました。番場さんは岩波文庫の小熊詩集の、岩田宏さんの素晴らしい解説について語ってくださいました。
 今回、柴田は9月あたりから毎日「しゃべり捲れ」を念仏のように唱えて練習していたのですが、謎があります。「4人の女は優に一人の男をだまりこませる程に」の4人の女とは誰か? お母さんが3歳のときに亡くなっている。継母の方がいて、お姉さんがいて、奥さんがいました。小熊秀雄愛する人たちのたくさんの声が、小熊の詩に力を与えてくれていたらいいなぁと思いつつ、朗読させて戴きました。
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■第三部は《詩人たちよ しゃべり捲れ》ということで、鈴木たかしさんの司会で、スピーチと朗読。
 見惚れてしまう青いドレス。熊谷ユリアさん「青い沼」、いつも一篇でもいいからあんな風に書きたいと密かに憧れております橋本征子さんの「光」、三村美代子さんの御作品(光は老女の白髪を束ねる)という詩句が印象的でした。サプライズゲストのような感じで(会員ですが)けーたろう氏による「おばけのまーる」朗読!、東峰和子さん(我々のとき、いまこの時にひらひらと…)、原子修先生の「女」(暗唱!迫力が違います。)、嘉藤師穂子さん「上海ブルー」(小樽詩話会か何かで読んだ記憶ございます。)、若宮明彦先生の「アナハイム」はコールサック最新号の扉詩、会場エルプラザの研修室が瞬に一して西海岸のリゾートへ、そして広大なスタジアムに変わりました。100年一気に飛び越えました。これが詩の力か…感服致しております。本日の素晴らしい書(北の詩祭)を書かれた石井眞弓さんの可憐な朗読、本庄さんのスピーチ、最後にやまだ乃理子さんの夢の中の出来事のような寓話的「いなか町のできごと」…まさに夢のようなひととき。村田譲会長と菅原みえ子さんの朗読が聴けなかった以外は完璧な時間を過ごさせて戴きました。誠にありがとうございました。
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■最後に副会長 渡会やよひさんのご挨拶で閉会。懇親会は地下の「山わさび」にて。こちらの司会はやまだ乃理子さん、詩人たちがおやつについて語りました。憧れの皆様と同席したりハイタッチさせて戴きました。ありがとうございました。旭川なので一次会で帰らねばならず、会場から駅まで、東延江さん、三村美代子さんとご一緒できました。
 北海道の詩の世界はこんなに多彩であり、水準が高いのだということ、人生のある時点で詩を書いて生きると決意した方々にお会いできた奇跡の慶び。そして今回はあまり道東エリアの方は来られていないように感じましたが、詩の国北海道はまだまだ奥深いということを再認識し、しっかり勉強して伝えていきたいと感じました。東さんの今回のお話では、北海道詩人協会の出発点は旭川であったとのこと。小熊がいた旭川の詩の溢れる熱き時代が甦ったかのような、「詩人口」密度の著しく高い一地点の実現。忘れられない一日となりました。心よりお礼申し上げます。
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■恩師・故高野斗志美先生の『小熊秀雄~青馬の大きな感覚』(花神社1982)をそっと鞄に忍ばせて、今回参加させて戴きました。旭川の詩精神です。

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