■詩誌「蒐」10号を拝受致しました。昨年はお墓参りにあまり行けなかったことを想いつつ、渡会やよひさんの「供花」に惹き込まれておりました。聴こえてくる墓参り客の会話「(」から、故人の像が浮かびあがる…部屋に化粧瓶の空き瓶、二人の姉、厨房?酒房?で働いていた。「刻まれた文字はまだ鉱石のにおいがして」…新しいお墓なのかな? 「(『バグジー』っていうギャング映画に出た女優…/(ウォーレン・ベイティの相手役…/(アネット・ベニング!/(どこか似てたよ」笑顔がチャーミングな女性なのか?『バグジー』はかなり若い頃。もっと他に代表作がありそうだが…そうか、公開翌年にウォーレン・ベイティと結婚したことを考えると、『バグジー』は特別な作品なのだ。幸せな結婚をした女性なのかな? 何歳で、何故死んだのか? お墓参りに来ている人たちとの関係は? どのくらい親しいのか? 謎は謎のまま、美しい靄となって…供花とは、その人たちの文だけそれぞれ親しい人たちが少しずつ温めていた故人の記憶や情報を引き出し、織り合わせる作法なのか。「とおくざわめく夏草の深みから/きららかな靄のような/昏くたゆたう花ふぶきのような/ひらめくスクリーン一枚/夕闇に鎮まる墓地のほうへ/滑っていく」
田中聖海さん「ブルーベリー」、本庄英雄さん「雪待ち草」、坂本孝一さん「誕生」。憧れの名手の皆様による、秀逸な詩とエッセイ。11ページの芸術!