詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■「メディアあさひかわ」4月号に、《音楽・サウンドと映像による朗読会~安部公房「棒になった男」》の記事を掲載戴いております。

■「メディアあさひかわ」4月号に、2月23日に東鷹栖公民館にて行いました、私たち東鷹栖安部公房の会による《音楽・サウンドと映像による朗読会~安部公房「棒になった男」》の記事を掲載戴いております。鳥谷部さん!!いつも本当に、ありがとうございます☆

「幼少期を東鷹栖村(現・旭川市東鷹栖)で送った世界的劇作家、安部公房の作品を取り上げて続いている朗読会が2月23日、旭川市内の東鷹栖公民館で行われた。・・・」

《音楽・サウンドと映像による朗読会~安部公房「棒になった男」》
https://youtu.be/ZlVDZTgNxgY

■ フラジャイル・ダイヤリー(2)

・2月23日(土)、旭川市東鷹栖公民館・東鷹栖安部公房の会主催《音楽・サウンドと映像による朗読会~安部公房「棒になった男」》を行いました。今回の朗読は森田庄一顧問(東鷹栖安部公房の会前会長)、木暮純(詩人・「フラジャイル」同人)、冬木美智子(詩人・「フラジャイル」同人)、佐藤道子(音楽家)、柴田の5名で実施。音楽と映像に合わせて役を担当。東鷹栖公民館ふれあい広場満席の盛会となりました。「棒になった男」は1969(昭和44)年に発表され、上演された戯曲。初演は同年11月、安部公房の演出により紀伊国屋ホールにて、市原悦子芥川比呂志らによって演じられました。作品の特徴としては《変形譚》であること、また、単に都市を舞台として書くのではなく、《都市》そのものを書くことを試みられた作品。都市とは社会制度のなかに取り込まれた状況。ゴーシュ・ダスティダー・デバシリタ氏は「人間が社会制度のなかに取り込まれ、生存抗争、所有欲などによって人間性を失いつつある」現代社会の危機現象を公房は読者に伝えようとしている(ゴーシュ・ダスティダー・デバシリタ『棒の森』の超時代性をめぐって~安部公房『棒になった男』論)と論じています。仙台でいじめを苦に母娘が心中という信じがたい事件が発生している現在、50年前に書かれた安部公房作品の問題提起は決して古くありません。高野斗志美先生による『安部公房論』は、人間を離脱し、変形を遂げる、その表現は「いまいちど、世界を再構成していく原点に転換しようとする。」新しい虚構の原点を作りだす運動であることを指摘しています。「自己変革の新しい拠点を創るために」《変形》を発見する。《変形》という倒錯した虚構のうちに「みずからの存在権を創出していく」。
 安部公房自身は、作品の読み方は作者によって限定されるものではなく、作者は「意味にまだ到達しない実態」を読者に提供する、たとえば航空写真のように無限に読みつくせる「無限の情報」である、と語っています。だからこそ今なお褪せることのない、普遍的な作品群を遺した安部公房には三つの故郷がありました。満州、東京、そして原籍地である旭川東鷹栖。《安部公房は確かにここにいた》この東鷹栖が安部公房にゆかりのある土地であり、安部公房が通った近文第一小学校に記念碑が建立されていることを、一人でも多くの市民にお伝えしたく、同時に安部公房作品の魅力を当地域から伝えていく取り組みを目指し、今後も東鷹栖安部公房の会の活動を続けて参ります。

 

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