詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

支倉隆子さんの詩劇「洪水伝説(稽古篇)」+ポエーマンス

■2019年8月31日札幌道新プラザ DO-BOX、9月1日小樽運河プラザと、支倉隆子さんの詩劇「洪水伝説(稽古篇)」+ポエーマンスに参加させて戴き、二日間、すべての瞬間が輝きとして刻まれ、とても勉強になりました。

 詩劇「洪水伝説(稽古篇)」は、旧約聖書の世界が現代の日常と交差する神話的空間であり、毎日、空っぽの器のように生きようと目指しながらも膨大なやるべき課題に溺れ、水底に潜み、晴天を忘れかけていた私の眼前には、白い衣装を纏った詩人の発する詩句や動作の一つ一つが、光雫の波動のように広がっていき、同じ赤い台本を持っていてもそれを読み、言葉に発する詩人の感性がそれぞれ違うこと、その異なる感性どうしを織り重ね、或いはぶつけ合い、創成記が奏でられていく。全員が一言ずつ放つ「晴れ!」を、雨が無ければ晴れもない、失敗がなければ成功もない、どちらか一方だけでは絶対に不完全であるという仕組みが、空から地上を、宇宙から地球を、さらに大いなるものの眼差しの下で育まれていく、お稽古や本番を重ねるごとに壮大さを増していく詩劇の素晴らしさを間近で体感させて戴きました。日常を忘れ、惹き込まれました。あらゆる瞬間が謎や正解を織り重ね、多方向からほんの一瞬の同じ次元に向かって飛び交っている。支倉詩劇を朗読した詩人全員の輝き。水の中でも、雨と晴天の境の虹の中でも。遠い過去と未来の狭間で、生を感じることができました。熊谷さんの織られた衣装も素晴らしく、光と音が、言語を創出・・・。

 この二日間の御礼を、二日間の間に出会った全員の皆様にお伝えしたく、言い尽くせない感謝に溢れ、すぐれた音響エンジニアのShigeruTanakaさんの即席弟子として、フラジャイル木暮純兄と柴田は照明等機器設営の手伝いをさせて戴き、音楽、映像、テクノロジーと人間との、そして進化への途方もない闘いに従事させて戴きましたこと、心より御礼申し上げます。
 支倉隆子さんの厳しくも温かいタクトのもと、積み重ねられるお稽古から緊張感溢れる本番、箱舟の洪水と陽光の洪水で会場を満たした詩劇メンバーの錚々たる詩人の皆様、(金井裕美子さん、福田知子さん、吉田ゆき子さん、為平澪さん、佐波ルイさん、長屋のり子さん、渡会やよひさん、村咲紫音さん、嵩文彦さん、三村美代子さん、石井眞弓さん、木内ゆかさん)

 両日の「ポエーマンス」も超豪華ゲストの皆様。一日目(道新プラザ DO-BOX)の詩朗読には、なんと岩木誠一郎さん、渡辺宗子さん、渡会やよひさん、長屋のり子さん、嵩文彦さん。残念ながら参加できなった木田澄子さんの詩を氏間多伊子さんが朗読、サプライズとして村田譲(北海道詩人協会会長)さん、海東セラさん(「pied ピエ」主宰)、中村喜代子さん(「詩邦人」同人)、詩祭が繰り広げられ、音楽もあり、支倉隆子さんの妹さんのソプラノ歌手藤山道子さんによる独唱、声楽家鎌田神爾さんによる非常に珍しいリュート演奏。阿部嘉昭さんの詩とお話、飯島耕一氏の「他人の空」のこと、『象は静かに座っている』と監督フー・ボーの自殺の謎。「発端と結末の一致」のウロボロス、処女作=遺作という映画監督の実人生の次元まで映画作品が転位。(小小パーティの場でも補足のお話を戴き、興味深く拝聴。)、福田知子さん+吉田ゆき子さん+佐波ルイさんという3人のTHE POEMANNSによる朗読、グランド フィナーレはワラビラビリンスの合唱!!

 二日目(小樽運河プラザ)は支倉房子さん、木暮純さん(「フラジャイル」掲載から2作)、船越素子さん、長屋のり子さん、嵩文彦さんの詩朗読、村咲紫音さんの朗読では三味線の舞踊も。サプライズに木内ゆかさん(小樽詩話会同人、横浜の木内さんにようやく出会えた喜び!)、福士文浩さん、この日の鎌田神爾さんのリュート演奏では木内ゆかさんの軽やかなダンスに魅せられる。手足が奏でる弦のよう。 船越さんが紹介されたことにより、鎌田さんは津軽弁による「走れメロス」白熱の朗読も披露! 羽鳥☆NORIKOさんの圧巻のパフォーマンス、詩は言葉になる前の音であるということ、支笏湖の大樹での映像、大地の声に繫がる深い感性に、共感をされ、琴線を震わせた方が多数。拝見しつつ、長屋のり子さんの御兄様である詩人・山尾三省氏がとらえた地球感覚に想いを馳せておりました。高橋秀明さんの朗読を初めて、小樽の地で聴けたことも忘れられません。築山登美夫さんの御作品、高橋さんの作品、「LEIDEN 雷電」終刊号のことを想いつつ拝聴。THE POEMANNS、金井裕美子さん+為平澪さん+船越素子さんのそれぞれの詩が核融合され 二日目もワラビラビリンスの大団円でした。

 二日間を通して、動画撮影を木暮純さんにお願いしたので、後日編集をしながら映像を確認しつつ、上記レポートを校正させて戴きたいと思います。
 柴田もポエーマンスとして参加させて戴き、制作させて戴いた支倉隆子さんの作品映像を上映。

 1日目 ・「かみ、ほとけ、水の不良は、」
               (「√2通信68」より
     ・「雨のふともも」 (「√2通信67」より
       https://youtu.be/euhojMK_WCQ

 2日目 ・「月ん竹取物語ら」(「√2通信69」より
       https://youtu.be/bmuaRrc0y4w

 また、「シンセサイザー演奏」ということで5分くらいずつお時間を戴いてしまったので、古い作品ですが、自作詩作曲のこちらを演奏、かつて小樽に住んでいたときの憶い出から・・・

 1日目 「スズランテープ」
  https://youtu.be/ZHRLiV2VB-w

 2日目 「ワゴンセール」
  https://youtu.be/ERadDP7q2nk

 上記2曲、お時間お有りの際にでもご覧戴けましたら幸いです。後ほど、村田譲さんより、「スズランテープ」はなんと北海道弁である!という注釈を戴き嬉しく。

 全ての瞬間から多くを学び、いまだ読み尽くせないほど、際限なく想起を繰り返している、二日間の宝物の想い出を糧に、荘厳な詩劇の青空のもと、これからの日々を歩んで参ります。支倉隆子さん、川瀬裕之さんへ、心より感謝申し上げます。忘れられない展示を拝見させて戴きました。
 「川瀬裕之/支倉隆子 2人展」(道新ぎゃらりー 会期:8月29日~9月3日)
 記念に買わせて戴いたピングリーン人の荷札をネックストラップにぶら下げつつ、一枚一枚丁寧に書かれた荷札にたくさんの笑顔と詩句が刻まれましたことの報告を木田澄子さんへ送らせて戴きます。心より御礼申し上げます。

 2019年9月 柴田望

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