詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■番場早苗さんの新詩集『一瞬の、永遠の、波打ち際』(響文社)

■番場早苗さんの新詩集『一瞬の、永遠の、波打ち際』(響文社)を拝受致しました。誠にありがとうございます。井原靖章氏による美しい装填。波の一瞬、膨大な景色が、どの行からも立ち昇ってくる。午前中ずっと読ませて戴いておりました。昨日の夕方、諸事に疲れきった私を見て、大切な方が「ゆっくり休んで、詩のことだけを考えてください^^」と言ってくださった。私の様子に「たすけてくれ」をお感じになられたのか、…。「書くことのうちにあるのは「たすけてくれ」だと/テレビで生前の開高健は高校生に言っていた/「井上よ 岡田よ たすけてくれ*」/gozoさんも叫びながら書きながら出発した」「うちにある「たすけてくれ」/読むことで聞えるだろうか/わたしはわたしの/うちにある「たすけてくれ」/書くことですくえるだろうか」(P33-34「たすけてくれ」)。*吉増剛造「花・乱調子」詩集『黄金詩篇』より。(いつも持ち歩いている現代詩手帖文庫41のP58…。)(ベトナム戦争と戦後文学について高野斗志美先生のゼミで学んだ大学2年のとき、はじめて開高健を知りました。)
「游人」で拝見した御作品や、朗読会で拝聴した「鳥」などの御作品も、この一冊に収められると、最初に読ませて戴いたときとは違う表情で、壮大なイメージが紡がれていくようです。P56「夏の朝、蝶の飛び立つ」を何度も拝読。「しんだひともいきてるひとも/悪戦して、/議論して、/絶交して、/いまならもっと/うまくいえたかもしれない/いまならずっと/うまくいきたかもしれない/いいんだ、いいんだ、/かれにいってるんだか/だれにいってるんだか/胸いっぱいで」の詩句が、P84「手紙」のアーレントハイデガーの切ない書簡集や、「残酷なのはわたしのほうだった」の独白へ、イメージが広がっていく。冒頭の作品「呼人を過ぎる」に登場する3人のカタカナの作家も「たすけてくれ」を書いていたのか。声にならない深い声が天上の浜に広がっていく。「世界と接触する裸の部位は烈しく傷だらけだ」(P82「冬の崖」)そのことをあえて言葉にしてくださることで得られる深い癒しを、心より感謝申し上げます。

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番場早苗さん 詩集『一瞬の、永遠の、波打ち際』(響文社)