詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■北海道詩人協会「北の詩祭」朗読(水をテーマに) 朗読 柴田望「顔~水のイメージ」

■2019年11月2日(土) 
札幌市教育文化会館4F大会議室
北海道詩人協会「北の詩祭」朗読(水をテーマに)
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朗読 柴田望 「 顔 ~水のイメージ 」
(小樽詩話会会報614号、フラジャイル第5号に掲載)

 

詩は 全は 精神であり 宇宙は精神的である
何もない空間に満ちている 詩は呼応する
(上なるごとく下に) (下なるごとく上に)
詩は振動する 休むことなく震えている
真理は片割れに過ぎない あらゆるものに二面がある
嫌いは好き 敵は味方 両極の性質は等しい
流れ入り 流れ出る 詩は浮き沈む
右に揺れるだけ 左に戻る
(周期は重さや振幅に関係なく一定である)
原因が結果を起こす 結果には原因がある
《偶然》とは隠蔽に過ぎず
法を逃れることはできない
―詩は法を逃れる (原因でも結果でもない)
詩には性が 男女の原理がある あらゆる層に顕れる
(発生)(再生)(創造)へ導く
旧体制は母であり 破壊は父である

誰のことを言っているか あなたにはわかる
出撃した仲間たちは 黒煙に呑まれていった
大勢の 顔が さっきまでそこにいたのが
消えていくのが 当たり前だった
さて、次はあなたの番
最後の仲間をかき集め
一矢報いんと駆けだす ―制止する上官
「もうよせ、《これから》を創るのはお前たちだ」
そのとき、私たちは何をしていた?
(《これから》は何度も生まれた 《これから》は何度も壊れた)

何のことを言っているか あなたにはわかる
旧体制は父であり 破壊は母である 原因が結果を起こす 
右に揺れるだけ 空席を運ぶ 敵は味方
万物は振動する 休むことなく震えている 
今がどんなにつらくても 一つの状態に留まることはできない
何もない空間に満ちている 感情によって触れるたび変わる
全は 精神である 休むことなく 生まれている