詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■11月5日(火)、旭川詩人クラブの一日。旭川市文学資料館にて

■11月5日(火)、旭川詩人クラブの一日。旭川市文学資料館交流室にて午前10時より第17集『詩めーる旭川』の合評会、午後1時からは一般公開で「詩とあそぼう」、会員が展示している「歳月」をテーマに書かれた作品について、(本人以外の会員が…)語るという内容のものでした。お昼は3条通14丁目の「酒と肴 はち」さんのお弁当を皆さんで美味しく戴きました。
 11名が参加した合評会で嬉しかったのは、「近況報告」や「雑談」で終わることなく、できるだけ「詩」について語ろうという意識が高まり、活発な意見が出たこと、なんと大変に貴重な事件、東延江さんから柴田の作品について「この行とこの行は抜いたほうがよい」「詩が弱くなる」という、創作についての具体的な御指導を戴き、本当に初めてのことで嬉しく、配慮範囲が主題の近さから遠さへレーダーのように広がる表現に対し、一番核心に近い箇所はあえて書かないというご指導に、意味付けではない創作の神髄を感じました。
 午後は展示室にて会場設営、配布する資料づくり、司会から何から何まで、学芸員の沓澤章俊さん(「フラジャイル」同人 木暮純さん)が上手に進行して戴き、本当にお疲れ様でした。一般公開も含めて20名以上の参加となった(「フラジャイルのブログ見てますよ、と仰ってくださった方も。感謝の限りです。)、午後の「詩と遊ぼう」は、30分間で全員の作品に触れることはできませんでしたが、「にわとりの一声が/昇りかけの太陽をふるわせた」という凄い詩行、スマホではなく、リュックの中には「地図とジシャク」の東さんの「旅人」、秋岡康晴さんの「ルルド(南仏)」の二行詩、「聖地の祈り/聖霊に包まれ」が、午後からご参加の富田正一さんから見ればこれは詩ではない、しかし一行詩、二行詩は存在するという議論、その土地の空気や磁場、この旭川文学資料館も旭川文学の聖地であるという気づきなど、活発な意見交換。時間と空間を光と風が象徴する出雲章子さんの「風に押されて」、水の冷たさを読み手に触感させる遠藤静子さんの「一枚の絵」、「笑顔いっぱいで/春を 深呼吸」愛情深い荻野久子さんの「タンポポ」、瞬間の儚さをカメラのファインダーで切り取ることに成功している鈴木三夫さんの「バラのしずく」が語られました。発言者はマイクで話すのですが、ワイアレスマイクの音響の調子が素晴らしくよかった。
 最後はかつてこの旭川詩人クラブに所属し、後進を指導された鈴木政輝氏が提唱した七行詩を会場の全員で即興で創作!お題は当日発表の「出発」または「冬が来る前に」。この、参加者が会場で即興詩を書くという取り組みは旭川独特のものかもしれません。小樽でも札幌でもあまり見たことがありません。全員が書き終わったらコピーをして配布・朗読。お茶と美味しいお菓子の贅沢な時間を満喫、素晴らしい時間を本当にありがとうございました。皆様大変お疲れ様でした。
 その後、柴田は荻野久子さんと富田正一さんのお宅へ。12月の荻野久子さんの御詩集の出版記念会のこと、旭川詩人クラブのこれからのこと、富田さんの国鉄時代の想い出話…楽しい時は簡単には終わらず、冬の気配忍び寄る忘れ難き一日、気がつけば真っ暗になっておりました☆

七行詩(即興) 柴田望(11月5日 旭川詩人クラブ)

「 はじめの音 」

山頂の景色は静かである
麓の天気は荒れている
山頂は天界に続く
下界のみにくい争いは届かない
両極に磨かれる
湖面に映るのはシンフォニーである
その気づきが出発である

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