詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■文芸誌「オオカミ」34号(2019年9月 オオカミ編集室)

■文芸誌「オオカミ」34号(2019年9月 オオカミ編集室)を、苫小牧の詩人・福士文浩さんが送ってくださいました。ありがとうございます! 福士文浩さんは次号「フラジャイル」にも寄稿。今年は5月の札幌市豊平館での朗読会に参加、8月24日に行った旭川開催の第18回小熊秀雄朗読会にも来てくれて、素晴らしい朗読を披露してくれました。

第18回 小熊秀雄朗読会 福士文浩 2019年8月24日
・「神々の休日」(福士文浩)
https://youtu.be/ou-RuUFNlQA

5月25日(土)《第2回 ぽえむ・ライヴin豊平館
・福士文浩さん 「夜の翼」
https://youtu.be/99053fJlvpc

 振り返ると今年もあと僅か…。この5月に披露してくれた「夜の翼」が「オオカミ」本号に掲載されております。5部構成、10ページにわたるSF的長編詩。ロバート・シルヴァーバーグへのオマージュ。漢字の固有名詞にルビ。わくわくする展開の福士ワールド。「精神感応枠(サイコフレーム)の揺らぎは抑えきれない/惑星霊魂(ガイアソウル)が教えてくれたのは/わたしたちの命はこの世界を/生かすためにあるということ」

 佐相憲一さんの「いのち」の詩、「桜吹雪」に注目。「その時/いさぎよく木を離れ/宇宙に抱きとめられて/踊りながら浮かび降りながら」あらゆる生き物の気配が木を包む。宇宙は気配に満ち溢れている。夏から秋へ、秋から冬へ。光は絶えず反射し、振動する。「白く降り積もっていくものを引き受け/花に体現する」。空を舞う軽さに潜む重さ。最終連の「桜はいくさの象徴なんかでないということ」。「桜」が若者を扇動した軍国主義の象徴であるという議論を想起させる。宇宙にも自然に罪はなく「迷えるものを地球の回転が受けとめているということ」。何もない空間に満ちている、宇宙規模の視点が静かに「見守る」、「宇宙に抱きとめられ」るあらゆる生命の営み。

f:id:loureeds:20191111054041j:plain