詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■支倉隆子さんの個人誌 「√2通信」70-2019(秋ん) 「ALLん私記」71-2019(冬ん)

■支倉隆子さんの個人誌
 ・「√2通信」70-2019(秋ん)
 ・「ALLん私記」71-2019(冬ん)
をお送り戴きました。誠に、ありがとうございます。
 
両誌とも、小樽運河プラザで9月1日に行われた「詩劇「洪水伝説(稽古篇)」+ポエーマンス」の写真が表紙に掲載されている。「ALLん私記」71の表紙には、札幌公演に参加された望月喜市氏による、詩劇への返礼を和歌掲載!拝読しつつ、札幌、小樽の二日間を強烈に想起致しております。
 
8月31日には札幌道新ギャラリーDO-BOX、2日連続の素晴らしい公演でした。動画のほうも一部公開、一部限定にて、Youtubeにアップ致しており、DVD2枚組にパッケージを終え、配布可能な状態となっております。
 
その2日間両方の詩劇に出演され、詩朗読も披露された長屋のり子さんが、「ALLん私記」71号に詩「影炎」を寄稿。夢の写し絵、夢が現実を、現実が夢を繰り返し編む、音楽の主題展開のよう。船越素子さんが9月1日小樽で最上の夢のひとつである「シェルタリング・スカイ」について語られました。最初のセリフ「あなたは冒険家?それともツーリスト」を織り込んだ自作詩を朗読されていた。その映画のサウンド・トラック坂本龍一作曲)を聴きながら「ウイノオクヤマコエズニススムアサキユメミシオグクーノタビ」(船越素子)を拝読。尾久駅改札からのラビリンスを、よぎる兎を、短い時間に、膨大な景色を疾走させて戴きました。
 
 「√2通信」70の左波ルイさんによる、支倉隆子氏における『ん』の存在へのオマージュとして作成された「の・ような 藻屑」、言語によって物体が、発語によってオブジェが築かれていく。あらゆる物へ変化する藻付の星屑の生成。
 「動物に関するいくつかのエッセー(4)ー支倉隆子『すずふる』を読む」(小笠原鳥類)、詩集『すずふる』冒頭の「ささき ことり店」について。「「神経を病む」ことは、ある深い場所、通常とは異なる場所、に住むことができるようになることを意味している」。「死者や魑魅魍魎が跋扈している」異なる場所への誘い。「詩人及び読者の中の深い場所にある狂気への誘い」。書き手と読み手の関係を問う。「異なる場所」自体ではなく、入口かもしれない時空が、超えて際限なくイメージを喚起する。「左隣は女の人がひとり暮らしで/「神経を病んでいるんだ」となんだか自慢するみたいに父は言った」「桜吹雪の下を父はまんなかの家に吸い込まれていった」…父と女の恋愛詩であるならば、「私」と「「神経を病む」女」との関係は何か。異なる場所への落とし穴が11行の至るところに潜む。右端が「ささき ことり店」(実際のお店の写真は「ささき」が片仮名である。)。
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■公開中動画:「詩劇「洪水伝説(稽古篇)」+ポエーマンス」 2019年8月31日札幌・9月1日小樽
長屋のり子さん 木暮純さん 柴田望

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