詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■西原真奈美さんの詩集『待たれてあるもの』!!

■西原真奈美さんの詩集『待たれてあるもの』を大切に大切に読ませて戴き、『まなうら』『朔のすみか』『たいおん・体温・体音』を合わせて再読。『たいおん・体温・体音』の「知っている〈背中〉」にお写真も登場したと思われる「キミ」に再会かな? 抱きあげると土の匂い! やあ、お元気そうで^^。「あの日の運動会」、詩人西原さんの優しいまなざしが、優しくも強烈に照射している。幼稚園のお遊戯。《やらなくていいんだよ》と《言ってあげたかった》後悔のような追想。現代は、やりたくないことをいかにやりたいことのように見せかけて他人や自分を働かせるか、そのノウハウばかりが流通している。教員をしていた父のことを憶いだしつつ、この作品を拝読。父が勤める小学校の運動会を見に行ったとき、大勢が同じ動きを強いられる踊りの最中、一人だけポンポンを持って、まったく動けずにいた子がいた。一年生かな。担任の父がしばらく遠くから見ていて、近づいて行った。怒っている風でも諭すようでもなく、その子の背の高さにしゃがんで、話を聴くような感じで、その子に対して父は何度も頷いていた。音楽がうるさくて、何を言っているか聴こえなかった。かなり前のことです。大学時代であったろうか、父の働きぶりに胸を打たれた、白黒の静止画像のような記憶を、蘇らせてくれました。「あの日の運動会」だけじゃなく、「きおく」や「父としっぽ」にも、感動したせいかな。誠に、ありがとうございます。  
 「はるか ということのたしかさに/うたれながら さらされながら/とうかする ひかり」(「きおく」西原真奈美)

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