詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

『岡田隆彦詩集成』(響文社) ブックカバーチャレンジ【2冊目】です^^

■ブックカバーチャレンジ【2冊目】です^^

・注文させて戴きました『岡田隆彦詩集成』(響文社)を、早速ご対応戴き、高橋社長、ありがとうございます。ずっしり重い、こんな立派な本を買うような人間に自分がなるとは思ってもおりませんでした…という位の最高級品質!

 先程、学生時代に一番読んだ現代詩手帖文庫が29『堀川正美詩集』であると告白しましたが、その次に読んだのが、吉増剛造氏が解説を書かれた30『岡田隆彦詩集』と高野斗志美氏が解説を書かれた59『井上光晴詩集』であったろうと思われます。『現代詩の鑑賞101』(新書館)で「せっかちに薔薇を求めて安くあがるな」の「大股開きに耐えてさまよえ」を一読して衝撃を受け…学習塾に勤めていたとき、卒業する塾生に贈ったりしておりました。ケルアックの小説の登場人物(ディーン・モリアーティ)が出てくる詩もあったような…(ありました!p77 連作〈朱の裸体〉から1966「ああホウレン草」)

 先月発行致しました詩誌『フラジャイル』第8号の冒頭の方に掲載の金石稔さんのエッセイ「詩をめぐる断章」の一部を、ご紹介致します。「われらが岡田隆彦氏」!と金石さんが熱く書かれましたこと、胸震えます。
 
「*今日まで、日本語の領土で先駆的な詩人と称して許される方はわずか七人に過ぎない。
 『詩的実験1927~1937』における瀧口修造氏、『サフラン摘み』の吉岡実氏、『夢の佐比』の入沢康夫氏、『時間錯誤』の天沢退二郎氏、そして『The Other Voice』の吉増剛造氏、『帷子耀習作集成』の帷子耀氏、そしてわれらが岡田隆彦氏である。とりわけ、氏の『某々氏の全詩篇』『角度をかえて』は絶品である。稲川方人氏らの労作『岡田隆彦詩集成』(響文社刊)を是非とも読まれたい。」
 
「*芭蕉が彼の目に叶う句を撰して「笈の小文」なるアンソロジーを意図し手控えを有していたことが、去来の「去来抄」に伝えられている。が、ついに、刊行されることはもちろん多分完成されることはなかったのだろう。今日、伝わっていない。
 かつて、岡田隆彦氏が1968年の「現代詩手帖」誌一月号に「某々氏の全詩篇」なるタイトルで氏のこれまでの、意図より先に思いがあふれた情操の奔流のようなことばづかいの詩から急旋回して、詩の成立の根拠を一字一句、他者のであれ岡田氏自身のであれ記述されたことばの根源にゆっくりと深く降りて探ろうとした衝撃的な実験詩篇を発表した。そのことに刺激されて、わたしは、このタイトルを借りて、不遜にも、芭蕉俳諧における「笈の小文」のような冊子を夢想したのだった。
いまのところ、日本語における外国の詩篇の翻訳から始まった、この国の詩篇群をすべて通観してはいない故、十七詩人の十七篇にとどまっているのだが、そのタイトルをあげておく。」(金石稔「詩をめぐる断章」より抜粋 詩誌「フラジャイル」第8号2020年4月に掲載)
 
 この文に続き、金石さんがセレクトされる最高の十七詩人の十七篇が紹介されます。詩誌「フラジャイル」第8号に掲載されておりますので、ご興味をお持ちの方はぜひご覧戴けましたら幸いです。

 現代詩手帖4月号の現代詩季評①「時代の回収に抗って」の冒頭で熱く鼎談議論をされております、『岡田隆彦詩集成』(響文社)、すべての瞬間と熱と芸術が籠められている、底しれぬ深い重さを、ぜひ多くの方に手にとってお読み戴けますことを祈り申し上げます。

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