詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■詩誌「蒐」第14号(蒐の会 2020年12月20日)

■1月26日の小島きみ子さんのFB、TWITTERにてご紹介されていました、北海道の詩誌「蒐」(蒐の会)、渡会やよひさん、田中聖海さん、坂本孝一さん、本庄英雄さんの4人による少数精鋭、詩とエッセイでページ数は11ページ程ですが極めて詩質高く、本庄隆志氏による表紙もいつも美しく、貴重な勉強をさせて戴いております。
 詩誌「蒐」第14号(2020年12月20日)、渡会やよひさんの「島々」のヴィジョン、「目をひらくと/かすかに砂の崩れる音がするので/わたしは思い出すことができない/波が昨日どんな話をしていったかを/果てのない旅をする波たちの/つつましい握手の感触だけは残っているのに」…砂は話をする。波は握手の感触を残す。砂浜に残っているのか。寄せては返す、詩は聴こえるはずのない音楽や会話を聴く、あるはずのない感触を味わう、握手は挨拶。詩の感性が昼の海やマダラ蝶、夕陽や海に泳ぐ生きものたちと交信する。真夜中の海で、ヒトデの笑い、ホタルイカの発光…視えるはずのない光景を星々の高さから詩はとらえる。「小さなクジラのような循環バス」に揺られて「ここに着いた夜」「別の生が島であることなど誰も知らなかったあの夜」とある。私たちは多次元に住む。海と空と陸の昼夜の層を同時に織り進める。

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