詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

詩集『タイチの場合』(共育舎 2021年3月30日)

■詩集『タイチの場合』(共育舎 2021年3月30日)、届きました。ブックカバー裏に印字のあるように、頒価「悪税込み」で1,200円でした☆ また、《著者サイン》もあらかじめ印字されているという素晴らしい御配慮の行き届いた一冊、ずっと手放さず、大切にさせて戴きます。誰もが当たり前に払っていて、すでに議論もされていない消費税を「悪税」と名づける御姿勢、評価の定められた歴史や事実として流される報道をそのまま信じるのではなく、「わかっていると思うことにまず羞恥せよ」(「拝啓俊輔さま」)。島崎藤村東條英機の文章や演説の校閲をして助けていたことを、保坂正康が調査し明らかにした。その藤村への思いを語る「文学の光と闇と…」、蠣崎波響の名画「夷酋列像」に隠された背景をあばく「枝を焚く」では「クナシリ・メシリの戦い」(根室市の指定史跡、寛政の蜂起和人殉難墓碑に、和人側の目線で刻まれた事件)が紐解かれる。私たちが学び直さなければならない事実、いつ何が起こっていたか。その歴史の延長線上で、今何が起こっているか。

「展示に力を入れれば入れるほど
 当局が必死にかくそうとしているものの正体が見えてくる
 白老街に作るアイヌ民族博物館
 あれも必死になって歴史的事実をかくすに違いない」

「褒美をもらい酒食を受け 家老の絵のモデルになる屈辱
 民族仲間を裏切って犯人さがしをやり
 一人ずつ首をはねていくのに耐え
 降伏すれば助命するという約定があったのにと 怒りペウタンケする牢内の仲間たち
 それも一斉射撃 それを見ていた長老たち」
 (「枝を焚く」 加藤多一『タイチの場合』)

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