「 癒しを求めて 」 富田正一
*
ここまで生きて来れたのは
多くの数知れない方々
肉親の癒しの天与の恵み
すべて忘れられない
名利を求めない生きざまの
活力となった証だ
人と人とのコミュニケーション
自分の立場もさることながら
相手の心を思いやる心が
自分の心を癒してくれた
この世から さようならする時は
白装束の裸の大将 無の旅立ちだ
私の過去をどう調理するのは
残された人たちの特権
あの日 あの時の思い出は多い
が 今は何も欲はない
皆さん 一人ひとりの メリハリ人生
愛の人生 ありがとう
これといった財産を
残してやれなかったのが悔しいが
兄妹 仲良く分け合って
残された人生の癒しの道に使ってほしい
あの世に行っても
癒しの世界を求めて
心ある人の来る日を待っているが
何も早まることはない
この世を まだまだ楽しんでほしい
涙は不要 笑顔 笑顔で
こんど 会う日まで
心に収めて お別れしよう
私の願いは一つ
癒しの道を確かに歩んでほしい
お先に 失礼ー ハイ さようなら
-九十余年終焉の日
*
■今年4月7日に逝去された富田正一さんの最後の作品。
4月17日の名寄新聞に掲載されております。
癒しと人と人との関りが失われつつある時代に
「名利を求めない生きざまの/活力となった証だ」
後進を励まし、多くの人に癒しと活力を与えてくださった
富田正一さんの歩んだ道こそ、「癒しの道」でした。
昨年12月22日に渡辺宗子さんが、
今年4月7日に富田正一さんが逝去されて
以降、自分でも気が付かないうちに、そして気付いてもまったく抜け出せないような
真っ暗な深淵に落ち込んでしまって、完全に孤独で、鬱状態でした。
永久に疲れてしまって、光を一切、見出せませんでした。
お二人の太陽のような笑顔から、深い癒しと励ましを、いつも戴いてばかりでした。
時には厳しいご指導も、慈愛に満ちていました。
苦しい時代を経験されたからこそ、底知れぬ深い優しさでした。
甘えてばかりでは、いけないのでした。
泣き言を言っている場合ではないのでした。
今夜の満月を見上げながら、強烈に思い出していました。
今日は水瓶座満月、一粒万倍日。
日本詩人クラブ、日本現代詩人会よりも古い、
戦後72年間続いた、1500人以上の詩人が関わった、
名寄~旭川~大雪山系~北海道の
詩誌「青芽」の後継誌「フラジャイル」「青芽反射鏡」の合冊を、
9月(フラジャイル12号+青芽反射鏡終刊Ⅰ)と
12月(フラジャイル13号+青芽反射鏡終刊Ⅱ)に予定致します。
それぞれ、富田正一さんの追悼についてと、普段通りの同人作品や、
詩の特集掲載を予定致します。
大きな仕事ですか、小さな仕事から癒しの愛を注ぎ、そろそろ準備に取り掛かります。
富田さんと宗子さんに笑われませんよう、
感染予防と集会の出来ない状況を逆手に取り、
旭川の詩を、始動させます。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
「何も早まることはない
この世を まだまだ楽しんでほしい」