■ 「 森 」 柴田望
七月に入っても河川敷などで
ヒグマの目撃が続いた
石狩川流域で目撃情報が相次ぎ
常磐公園、河川敷には立ち入り禁止の規制線
複数のパトカーがパトロールして警戒に当たる
センサーカメラやドローンが監視を続ける
富田さんのマンションの近くだ
窓から見下ろしているに違いない
「おーい、こんなところに迷いこむな
人間に捕獲されるぞ
棲むべき山に早く戻れよ…」
富田さんなら、優しいから
こう言うに違いない
古代からの山の神を
害獣として扱うはずはない
詩の言葉で語りかけるに違いない
「おお、柴田さん
オレ、あんたのこと探してたんだ
今までどこにいたんだ?」
二〇一六年十一月、旭川詩人クラブの集いで
初対面の私に声をかけてくれた
棲むべきではない人里に
迷いこんだヒグマだと
富田さんは見抜いたのだ
詩の森へお帰りと