詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■詩誌「フラジャイル」第12号+「青芽反射鏡」終刊号①、岡和田晃さんの連載「現代北海道文学研究(二) 小熊秀雄転向論への反駁から「惑星思考(プラネタリティ)」へ」を掲載!

■詩誌「フラジャイル」第12号+「青芽反射鏡」終刊号①、岡和田晃さんの連載「現代北海道文学研究(二) 小熊秀雄転向論への反駁から「惑星思考(プラネタリティ)」へ」を掲載!
 「高野斗志美と佐藤喜一の批評を「批判的地域主義」として再読する必要性を訴えたうえで……ネットで復活した小熊秀雄転向論(謬説)に対し、これまでの研究史をふまえた徹底的な反証の提示」
 p.97下段後ろから2行目、×「残虐描写を拝して」→◯「残虐描写を排して」とのことですが、柴田の責任編集にて、校正も私の責任です。誠に申し訳ございません。「拝」とは「敬意を表する、おじぎする」の意。つまり「下から目線で距離をおく」と解釈しました。「表紙に赤系統の色が好んで使われ、内容も低俗とみなされたものの俗称」である赤本の表現を、単に「廃する」や「排する」ではなく、「下から目線で距離をおく」。アイロニーが効いていると感嘆し、じつは未だ誤りとは認識致しておりません。恐縮ですが、毎日過酷な状況下でかろうじて生きている私にとっては、「小熊秀雄」を知っている人自体が周囲にはそんなにおりませんし^^、別世界の頭の良い方が小熊秀雄の言葉尻を利用すること自体、すみませんがお上品かつ高尚なゲームのようで、「拝して」差し上げる程度の興味しかございません。
 いま、旭川では何が問題になっているか。女子中学生が凍死した事件です。対応も調査も不十分であると批判を受けている、いじめの問題です。私たち大人は、中高生が自殺するような社会の空気を作ってしまっている、そのことに責任を感じなければなりません。
 98年前の大正12年旭川の牛朱別川に身を投げて自殺した16歳の少女がいました。山田愛子さん。「小さな心臓に包みきれぬ懊悩を抱いて」いた彼女の死を、興味本位の取材ではなく、綿密な調査を重ねて、彼女の心に寄り添ったルポルタージュを書いた、旭川新聞の記者がいました。「黒珊瑚」と呼ばれた詩人・小熊秀雄です。このことは昨年逝去された金倉義慧さんの著書『北の詩人 小熊秀雄と今野大力』(高文研)に詳しいです。98年前も今も、思春期の若者の壊れやすい心を支え、守り、育てていく、その覚悟を持って、大人たちは教育を行うべきです。中高生の自殺が増えています。将来を担う、子どもたち一人一人の心に寄り添わなかった結果は、悲劇的なものです。
 小熊秀雄は常に弱い側に立ち、行動する心の強さと優しさを持った詩人です。現代の良識が当然ではなかった時代に、多様性を大切にした詩人です。現代の大人たちが、当事者意識を持たなければならない、全身全霊で立ち向かわねばならない心の危機に重ね、小熊秀雄がどういう時代で、何を書き、何を発し、何と戦い、何故死んだのかを考えたとき、その大きな流れにかき消される雑論たち。この国で発言をする私たちが、どんな空気(social atmosphere)を作ってきたか。極めて恥ずかしいものです。

f:id:loureeds:20210905073400j:image

f:id:loureeds:20210905073409j:image