二〇一九年八月二十五日に鷹栖地区住民センターで開催された「叙事詩鷹栖プロジェクト」に参加させて戴きTOLTAの創作の現場に立ち会わせて戴きました。参加者三十九名が各班に分かれ、一人ずつ鷹栖町について発言し、発言者以外のメンバーが、印象に残った言葉を紙に書き記す。その紙に書かれた言葉が山田亮太さんの手によって『叙事詩鷹栖』に結実する。ある人の心の事象が他の人に伝承され、書かれた思考が詩の言葉へ現実の声にバトンされ、町に生命を吹きこむ。
コロナ禍のファースト・インパクトに突如発足されたマイナンバープロジェクトは、参加者が「数字」というルールのみを手掛かりに一ヶ月間テキストを入力。詩集『閑散として、きょうの街はひときわあかるい』は詩が火花を散らして数字と《いま》に接触し構造を震撼させる事件…。
これら二つは、複数の書き手のテキストを山田亮太さんが詩篇へ昇華させたものですが『誕生祭』の著者(詩人)は山田さんお一人であるはずなのに、大勢の《いま》の人たちの声として押し寄せてくる眩暈を体験させる。それは山田亮太さんの創作が、現代詩という枠を遥かに超えたものであり、従来の概念とは別の次元から選ばれ召喚された詩句が確かに詩を織りなした証。他の詩人とは別の道からやってきた詩群に《いま》の空気を貫かせる、雷撃のような奇蹟。
二〇一九年八月二十四日、旭川の「小熊秀雄朗読会」にご出演戴き、山田さんは「光る手」を朗読。五〇名以上の観客が異次元へ遷移され、息を殺して聴きました。相対性の響き… 長い詩であったはずなのに、深く短く感じられました。
