■詩誌「ペンダコ」で作品を拝読させて戴いております、かわいふくみさんより、新詩集『風の ふふふ』(2022年3月1日 土曜美術社出版販売)をご恵贈賜りました。誠にありがとうございます。ご出版、おめでとうございます!!
ふふふ…風=「カゼ」ではなく「フウ」なのでしょうか。起床は発電、小鳥は木の葉、詩は区別を超える。「死」の、「痛」の、「苦」のしばりを脱ぎ捨て、「話し言葉の皮をむいて」a-i-u-e-o-の「母音だけになり」(「母音だったころ」)、風船のようなかげろうのような石の歩行はゆらゆらになり、脳は幻を視ているならば、前向きに錯覚して生きたい。通信する一種のメタバース、詩空間の不思議。昼と夜の、夢と現実の、「塵や光の粒や鱗粉」(「一枚のスケッチ」)の境が揺らぐ、終電車にトルソーが、空の校舎にかつての夥しい生徒数が、ぎっしりこめられていく…
死と隣り合わせの「サーカス」の想い出、汚れた木綿の屋根のもと…親しい人の死について「親指のささくれ」「千夜一夜」にも胸を打たれました。人生のあらゆる場面、大きな森のようなシルエット、月の光に「透かされて」。心より感謝申し上げます。
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「透明な水面をのぞいた日はよく眠れるのです
水底からは
水鉄砲が発射されていて
それはゆっくり連射されていて
いつもならそうして眠りにおちてゆくのですが
水面に映った顔は
撃たれるたび破れては消え
いつしか目鼻も眠りも失っていました」
(「透かされて」)