詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■イクパスイのこと 『現代詩手帖』2022年3月号(特集「吉増剛造2022」)に掲載の吉増剛造先生の詩篇「石巻ハ、ハジメテノ、紙ノ声、……」

■『現代詩手帖』2022年3月号(特集「吉増剛造2022」)に掲載の吉増剛造先生の詩篇石巻ハ、ハジメテノ、紙ノ声、……」に、昨年11月に旭川から送らせて戴きましたイクパスイ(三代目)をお使い戴き…、フロッタージュの異様な姿が詩行に異界の入口を示すかのごとく立ち顕れ、魂に深く入れ墨され、感激致しております。昨年12月12日、旭川市中央図書館での講演のときにもイクパスイをお手元に、「紙を置いて、色鉛筆かクレヨンか何かで擦ってフロッタージュをしてみる。すると別の模様が出てくるんですよ。これが怖くて僕はまだできない。違う模様が出てくるに違いないから。最初に木ノ内洋二さんから貰ったイクパスイは、どんなに沢山フロッタージュをしたかわからない……、」このように吉増先生は仰っていました。人間とカムイの仲立ちをする祭具、イクパスイ(髭箆)をかつて北海道で吉増先生にお渡ししたのは小樽の詩人、小樽詩話会に参加されていた、市立小樽文学館で文化への多大な貢献をされた木ノ内洋二さんです。木ノ内さんのお名前は吉増先生の詩集『Voix』(思潮社)の中にも登場します(”木陰に、”ユメの庭、……””シシシロシカル!”P65)。イクパスイのことは、カフカの『城』に登場する、異界への入口として差し出された一枚の板として、【葉書Ciné】#8「入梅(つゆ)入りの11JUN2020(木曜日)の雨の佃、天台地蔵尊カフカでした。」https://youtu.be/bhPqEdwTUes
こちらの動画でも吉増先生は語っておられます(この動画のイクパスイは二代目です)。北海道旭川市内のあるリサイクル商へ行き、何本かの中からできるだけ薄い、最初に吉増先生がお持ちだった木ノ内さんのイクパスイに近いものを…と選ばせて戴き、昨年のまだ雪のない11月15日午後、旭川市中央郵便局から送らせて戴きました。今年1月22日にオンライン(Zoom)で拝見した早稲田大学での「吉増剛造の詩業ー世界文学の中のGozo Yoshimasu」でダウンロードできたメモの中に……、そして『現代詩手帖』最新号の御詩篇の中に、生き写しのフロッタージュとして生命を与えられて、詩行とともに動き出してくるような凄まじい迫力。今この瞬間を生きる世界のすべての無意識の詩の領野へ衝撃的に食い込みインパクトを与える、Slashのエクスクラメーション・マークのようです。

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