詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■「ざいん」26号(編集 井村敦氏 発行 浅野清氏 未明舎)

■「ざいん」26号(編集 井村敦氏 発行 浅野清氏 未明舎)を拝受、詩人・歌人俳人でもある多彩な越野誠(小篠真琴)さんが、ついに小説デビュー。巻頭に掲載の小説「茶わん蒸しとミルクティ」は、困難な時代を生きる若者の暮らしや文化を描き、「母の作る」「栗の甘露煮とエビの入っていた」茶わん蒸し、大切な人との出会いの想い出に繫がる福山雅治の曲「milk tea」、これらは両方とも丁寧にかき混ぜる行為を想起させる。主人公が「見えない自分と向き合いたいとき」に現れる利根別川。日本海の潮流と混じり合う、清流、濁流。茶わん蒸しとミルクティと利根別川も重要な登場人物のよう。「町の人たちの心象を表すような」河川として利根別川を小説家の感性が真摯にえがく。
 この号は長年「パンと薔薇」を発行されていた光城健悦さんの追悼号であり、皆様の哀悼のメッセージが胸に響きました。光城さんには「タイムポテンシャル」や「フラジャイル」もご覧戴き、励ましのお言葉を戴いたことがございます。心より御冥福をお祈り申し上げます。

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