詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■イランの詩人、サナズ・ダヴーザデ・ファーさんの詩2篇✨

■イランの詩人、サナズ・ダヴーザデ・ファーさんの詩を紹介させて戴きます。Sanaz Davoodzadeh Farさんはイラン生まれ、現在はルクセンブルク在住。詩だけではなく、演劇や児童文学の分野でも活躍されています。イランの伝統音楽家であるPari Malekiとmojtaba asgariの弟子。イランではとても有名な詩人で、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、スウェーデン語、クルド語など、様々な言語に翻訳され、国際的な詩の賞も多数受賞されています。
 サナズさんの最初の詩集『I walk on dead letters』はアラビア語に翻訳され、シリアで出版されました。イラン人の女性詩人としてはアラビア語に翻訳された最初の詩集になるそうです。
https://x.gd/08nhN

↓朗読の動画をご覧戴けます。
https://youtu.be/ON6mosfZ1_c?si=yRYpNex7nar_p1FV

『詩の檻はない』の活動や、日本の詩にも興味を持たれたとのことで、Facebookよりご連絡を戴きました。サナズさんの履歴について興味深いお話を戴きました。後日詩誌などでご紹介させて戴きます。

*****

on my black hair
(私の黒い髪に)
*

私の黒い髪に 
ざくろの花が咲いた
この秋は春の匂い

今こそ
髪から
解き放たれる
風よ
髪を揺らせ

弾丸
今こそ
私の体の境界線はあなたのもの
撃て
撃て
風に揺れる髪
あなたを溺れさせる
弾丸
弾丸
私たちは傷を恐れる

私たちは
自由を葬る
あなたの唇にキス

私の目には
平和の鹿
地雷で埋め尽くされた通路を走り抜ける
爆発
すべての戦争の終わり

*****

My hair is a trench with red tulips
(私の髪は赤いチューリップの塹壕
*
  
私の髪は赤いチューリップの塹壕
鹿がいる 落ち着かない様子
私の苦しみが背後に隠されて
叫び!
とがった叫び!
自分自身に叫ぶ!
叫べ!
叫び声になれ!
鹿の大きな目は
催涙ガスを飛び越え
私は夜へスカーフを投げる、照明弾のように
黒い炎症の恐怖の穴
私の鹿は、鎧を着たものを蹄で遮る
戦争は私の骨にまで達し
私は塹壕を掘り、美しさと涙から石を造る
チェ・ゲバラは今やすべての女性
私はシヴァッシュであり、火の中へ行く
私たちは立ち上がるべき
私の体の蝶は、今夜、ヒジャブの繭から解き放たれる。
そして警察は、棒で私たちと諍い
また網を編む
彼らは網を編む
蜘蛛の巣が揺れる
蜘蛛の巣で鹿は死なない
そして、私は自分自身から飛び出す
私は叫ぶ 女性! 生命! 自由!
渡らなければならない
銃弾をくぐり抜け
放水銃を恐れず
ああ、死刑執行人!
自由のために
私は地雷の上を歩く
私の髪は鋼鉄の蔦
抑圧者の手に絡みつく
鹿が私の髪を松の枝につなぐ

 

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