部屋を片付けると大学時代に耽読したブコウスキーの本がたくさん出てきました。最近、田中宏輔さんがSNSに表紙をアップするのを拝見し、胸が熱くなりました。ヘンリー・チナスキーなら今のアメリカを何と言うか。いつもと変わらず裸で動き回れる範囲でビールを飲みながら、狂ってるなと言うでしょう。
「たくさんの裏切り、憎しみ、暴力」「いつだって、それぞれの軍隊が出動する」「神を説く者に欠けているものは/神/平和を説く者には/平和がない/愛を説く者には/愛がない/説教者にはご用心/物知りには要注意」
(チャールズ・ブコウスキー「群衆の天賦の才」 原成吉訳)
アメリカン・ドリームの嘘、金持ちが弱者を戦争で殺す階級社会であることを暴いたブコウスキーの基準では、文体から血の汗と匂いが染み出すドストエフスキー、ドス・パソス、カーソン・マッカラーズ、シャーウッド・アンダーソンなどが本物でした。エズラ・パウンド経由で李白や杜甫も読んでいました。
群れることを嫌った孤高の詩人ブコウスキーは、よく仲間うちの評価ばかりを気にする詩人たちを輪の外から観察し、茶化して書いていました。私もブコウスキーに馬鹿にされる偽物の詩人だなあと、なぜか嬉しく思います。なぜだろう。批判だけではないのです。ユーモラスなまなざしの先に愛がありました。



