詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■『雑文の巨人 草森紳一』柴橋 伴夫 (著) (未知谷)

■『雑文の巨人 草森紳一』柴橋 伴夫 (著) (未知谷)

 2020年3月31日発行 単行本: 272ページ ISBN-10: 4896426061 ISBN-13: 978-4896426069
 
・一部休業の店舗もあるが、営業している書店の売上はコミックや学習参考書、児童書などを中心に伸びているという。ガイドブックや地図の売上は激減。学校にも行けず、旅行にも行けず、書店も閉じてしまえば子どもたちはタブレット画面に教育(洗脳?)されるしかない。いまのところ市内大型書店は大盛況。詩誌「フラジャイル」も取り扱い戴いている 「Coach&Four旭川店」さん(旭川市宮前1条2丁目4−1)は1730坪、100万冊の品揃え。新刊やいま売れる可能性の高い本がぎっしり。文学の研究所や詩の棚は相変わらず狭い。一生懸命探したが、『雑文の巨人 草森紳一』に紹介されている本はどこにも見当たらない(一部取り寄せは可能)。アマゾンでは買えるのか。中古書店ネットのインターネット販売。送料しかかからないほど安かったり、高値が付けられていたり… 「ひとたび『歴史』という虚構の大海に棹を入れると、収入の七割がたは、本代に消える。異常に過ぎる。いっこうに古本屋の借金は、減らない」 3万冊以上もの本に囲まれていた草森紳一氏の生活とはどんなものだったのか。Youtubeで「草森紳一」と検索すると、「草森紳一の書庫「任梟蘆」」という動画が7つに分けてアップされています。(北海道音更町。非常事態が落ち着いたら、ぜひ行ってみたいです!) 書棚拝見する限りでは、もちろんコンビニの書籍コーナーや今の多くの書店(=つまりP140「出版物の洪水という名の焚書」)には置いてなさそうな本ばかり…20年前にバイトした大学図書館閉架書庫のよう。研究のために、膨大な書籍をどのように読んでいたのか。一時期流行った「フォーカス・リーディング」や1分で1冊の本を読む石井貴士氏の『一分間勉強法』などを見ると、意思や目的を持って(主導権を握って)ページを捲ることで、こちらから読むのではなく文字のほうから飛び込んでくるという。本書の中で『街道をゆく』が取り上げられている司馬遼太郎も本をトラックの荷台いっぱいに買い、ぱらぱらとページをめくっていたというから、膨大な情報を脳が潜在意識に吸い上げているような感じなのか。60~80年代、インターネットの無い時代に書かれた本や新聞、雑誌の記事などを読むと、ネット検索の資料コピペなどとは雰囲気がまったく違う、書き手の読書量が筆力の大軍となって圧倒的に押し寄せてくる。ペンがパソコンになって失われたもの。最近の非常事態の外出自粛のため自宅からネットを通して各パートバンド演奏される有名ミュージシャンの音楽に魂や空気が欠けているように。人間の手で読んで、興味を抱き、時間を超えて人物の足跡を、書籍の文字の海を探り丁寧に歩み直さなければとらえられないもの。書くことは再び命を与えること。アンリ・ルソーフランク・ロイド・ライト、芋銭、李賀、永井荷風フランシス・ベーコン…建築、漫画、プロパガンダビートルズ、江戸のデザイン…
 
昨年、「北の聲アート賞特別賞/ハルニレ賞」を受賞された、草森紳一蔵書プロジェクトのフェイスブックはこちらです。
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