詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■「メディアあさひかわ」2019年2月号にて、詩誌「フラジャイル」第4号・・・

■「メディアあさひかわ」2019年2月号(138ページ)にて、詩誌「フラジャイル」第4号、なんとかなり大きく、内容の魅力など、ご紹介を戴いております。・・・目次の表示からして、大きいです。さきほどコンビニで買って参りました。たいへんに熱き応援を賜り、心より感謝申し上げます。
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 詩誌「フラジャイル」4号、事務局の在庫はかなり薄くなってきておりますが、次の書店で取り扱い戴いております。FBメッセンジャーにてご注文も承っております。ご一読くださいましたら幸いです。

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ジュンク堂書店旭川
  〒070-0031 旭川市1条通8−108フィール旭川5階 0166-26-1120

・こども富貴堂
 〒070-0037 旭川市7条通8丁目左2-1 0166-25-3169

コーチャンフォー旭川
 〒078-8391 旭川市宮前1条2丁目4-1 0166-76-4000

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【小熊秀雄×フラジャイル リッジリーディング 】

旭川市文学資料館、中央図書館をはじめ市内各図書館、まちなかぶんか小屋など、市内の色んなところに、チラシ・ポスター掲示戴いております。誠に、ありがとうございます。昨日軽く現地でリハーサルしました☆

小熊秀雄×フラジャイル リッジリーディング 】

第17回 小熊秀雄・朗読会...
(主催 小熊秀雄賞市民実行委員会
 後援 旭川市教育委員会

2019年1月27日(日) 14時より
まちなかぶんか小屋(旭川市7条通7丁目)にて
入場料500円
事前申し込み不要 会場に直接おいでください。

戦後72年続いた旭川の詩誌「青芽」の後継誌として
2017年12月に創刊された詩誌「フラジャイル」同人による朗読会です。(遠地在住詩人とのインターネット接続による朗読も行います。)

【音楽と動画による詩的表現の試み】
「しゃべり捲くれ」小熊秀雄×フラジャイル リッジリーディング 2019・1・27

youtu.be

動画制作・作曲:柴田望
資料提供:NPO法人旭川文学資料友の会

Youtubeにてライブ配信を行います☆

当日こちらのチャンネルまで! www.youtube.com

「 顔 」 柴田望  2019-1-22.

「 顔 」
    
  
真っ白い 何もないただの壁に
窓を落書きする 真っ白い曇りや氷点下の結晶
景色を遮る粒子が星空に吸われたのではなく
ある晩、窃盗団の侵入により幾世帯もの
窓ガラスとステンレスの枠は消される
死んだ団地の表情 同じ方向へ一斉に叫んでいる 
こんな工事、発注していない!
グーグル・アースでは細い腸のような 眼の楕円の集落
涙腺を辿ると 円形に削られている 鉱質の高い地下水は枯れ
旧三井砂川炭鉱中央立坑櫓 カーブする渓流の奏で響く
最盛期は人口密度日本一 山じゅうに住居はあった
集会場、共同浴場と三〇棟あまりの廃墟だけが残る 
水道も電気も来ている 生活保護の二人のため
坑道の入り口は封印されている かつては町の顔であった
鉱石光る大地の賑わいは国じゅうに散らばって消えた……
もうそこには住んでいない 男が訪れるのは
地元カーショップにある生保代理店窓口 女性が問う
何も書かれていない 真っ白いただの紙にすべて書く
姓名判断 四柱推命 手相 数秘術 西洋占星術
A4の二・三枚 手書き儀式中に映像は湧き水のごとく閃く
採用面接と同じで 核の体験の記憶まで遡らなければならない
カウンターの黒服の女性が見たことを伝える 男の表情は変わる 
その瞬間にだけ 重い仮面をようやく外す
一見何もない壁に 籠められている 全体の予算 国の計画 
最初は助けたい一心でした 解体しやすいかどうか
ベニヤ板を石で叩けば 薄いコンクリ 結露の酷い石膏ボードが粉を垂らす 
古いアイドルのポスター 黴びた畳が永遠に濡れる
火でも点けられたら大変 視力と発語力を盗まれた
のっぺらぼうの同じ顔が 月に向かって咆哮している
住まいを後にした幾世帯もの 束ねられし表情の破片
どこへ散らされたのか? トラックは国境を超える
反射する風景を奪われ 緊急ダイヤルが鳴る 「ピザを届けてほしい」
「これはただのピザの注文ではありませんよね」
「はい、ラージサイズを四つお願いします」
警官はその住所へ出動し 酔った男に手錠をかける
男はウィリアム・F・フリードマンじゃない
電話した女性の顔は腫れあがっているが見たことがある
先週、忠告されたはず …でも彼の元を離れようとしない
彼にも忠告した 続けたら逮捕されると
彼らは占いへ通うのをやめず 行動も変えない
重い仮面を脱ぎ、悩みを話す相手は 占い師でもカウンセラーでもなく
水晶玉でもない 鏡だ 苦しみは一人ではない 大勢の人が抱えている
口コミで並ぶ 芸能人、社長クラス、学校の先生、学生や主婦、お年寄り達…
とにかくもう、書くのが大変 真っ白い紙にひたすら書く すると閃く
役割は仮面 暗号に過ぎぬ (ピザの注文じゃない)
盗んだ組織の人相を暴く 生きているかを知りたくて 
行方不明の写真を持ってくる警官やご家族
《欠如とは存在の不在の底にある存在、何ものも存在しない時に
なおかつ存在するところのものであるのではないか?》    *1
《薔薇は闇の中でまっくろに見えるだけだ。》        *2
失われた言葉で 草叢に隠れ 獲物に目を光らせる 入れ墨の狩猟者
渦巻や棘や眼の文様 炭鉱に勤めた相談者のご先祖 沢の集落
団地の入り口にある華奢な橋は十四トンしかもたないのに
二十トン以上のダンプやトレーラーが毎日行ったり来たりして
建造された遺跡 催眠の季節に 団地すべてを壊すのではなく 
生かせるものは生かしたらどうか 国や道の予算でやれはしないか
窓を奪われた廃墟に棲む 何も貼られていない結露の酷い透き通る壁に
人々の顔を浮かべようと試みるとき
どんなに遡ろうとしても 秒針は未来へと進む一方なので
決して辿りつけず 目指すことしかできない (一応制限されている)
人生を形づくった核の体験の記憶 そんなものはない
表情は描かれています
 
 
*1 モーリス・ブランショ『文学空間』
*2 小熊秀雄「馬車の出発の歌」

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■「北海道経済」2019年2月号にて、詩誌「フラジャイル」第4号

■「北海道経済」2019年2月号にて、詩誌「フラジャイル」第4号、内容の魅力など、ご紹介を戴いております。いつもこのように熱き応援を賜り、心より感謝申し上げます。
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 詩誌「フラジャイル」4号、事務局の在庫はかなり薄くなってきておりますが、次の書店で取り扱い戴いております。FBメッセンジャーにてご注文も承っております。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

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ジュンク堂書店旭川
  〒070-0031 旭川市1条通8−108フィール旭川5階 0166-26-1120

・こども富貴堂
 〒070-0037 旭川市7条通8丁目左2-1 0166-25-3169

コーチャンフォー旭川
 〒078-8391 旭川市宮前1条2丁目4-1 0166-76-4000

 

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■詩誌「サラン橋」第19号(2018年11月)

■詩誌「サラン橋」第19号(2018年11月)を拝受致しました。コールサック等で作品を拝読致しておりました、催龍源さんの「アルディピテクス・ラミダス猿人に捧げる組曲」に圧倒される。アルディピテクス・ラミダス猿人とは、「*約四四〇万年前、エチオピアに生息していた、人類の最初の祖先と推測される猿人。」のこと。11月に北海道詩人協会で原子修さんより、「縄文時代の過去に遡ることで未来をえがく、それが詩人の仕事です。」と言われたことを胸熱く想い出しつつ。組曲は「1蝶」「2少年」「3悠久」「4まなざし」の四部作。本文の中に猿人は登場しない。猿人のまなざし、猿人の内部に景色が、宇宙が育まれていく。「だれだろう ぼくのなかの宇宙で/祝祭のように 星の子どもたちを集めては/青く澄んだ水の星を 作ろうと」 今現代にいる私たちが対峙している現実は、人類の最初の祖先が対峙していた現実に比べて、どうであろうか。人類の最初の祖先たちから見て、私たちの存在は、向かっている先は、どうか。私たちが存在している今ここを、物語のはじまりの起源に置き換えることは可能だろうか。「むけられているまなざしに はじらい/ながらも また生まれようとする いま/ここに 実存することに気づかされたものたちよ/すべてを受け入れ 世界に物語るはじまりよ」

 そして詩誌の最後を飾る、岡田ユアンさんの「囀る、光の粒」に、時空を超えて宇宙の起源に案内されて、荘厳な光の織り成す生命のシンフォニー、海の街に住んでいたときに海岸で見た景色、吸った空気を、雪の街の凍る朝の光の粒子のダイヤモンドダストの積雪を、結晶の暁を迎える祝祭。「これは祝祭なのでしょう、あなたの、/宣誓に付帯する祝祭なのですよ。ほどかれ、むすばれる/絶えず交わされる約束なのです。宣誓につづく宣誓、」光の出入り口、生命エネルギーの根源、「トーラスの出入り口に。ひるむことなく/臆することなく。ただ目を閉じ、旋回する、ああ」回転体の変数を見破る詩人によって、繰返しの日々の仕組みを暴かれた喜び。私たちが放り込まれた世界に、詩句に、感謝の限りです。

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■詩誌「蒐」10号

■詩誌「蒐」10号を拝受致しました。昨年はお墓参りにあまり行けなかったことを想いつつ、渡会やよひさんの「供花」に惹き込まれておりました。聴こえてくる墓参り客の会話「(」から、故人の像が浮かびあがる…部屋に化粧瓶の空き瓶、二人の姉、厨房?酒房?で働いていた。「刻まれた文字はまだ鉱石のにおいがして」…新しいお墓なのかな? 「(『バグジー』っていうギャング映画に出た女優…/(ウォーレン・ベイティの相手役…/(アネット・ベニング!/(どこか似てたよ」笑顔がチャーミングな女性なのか?『バグジー』はかなり若い頃。もっと他に代表作がありそうだが…そうか、公開翌年にウォーレン・ベイティと結婚したことを考えると、『バグジー』は特別な作品なのだ。幸せな結婚をした女性なのかな? 何歳で、何故死んだのか? お墓参りに来ている人たちとの関係は? どのくらい親しいのか? 謎は謎のまま、美しい靄となって…供花とは、その人たちの文だけそれぞれ親しい人たちが少しずつ温めていた故人の記憶や情報を引き出し、織り合わせる作法なのか。「とおくざわめく夏草の深みから/きららかな靄のような/昏くたゆたう花ふぶきのような/ひらめくスクリーン一枚/夕闇に鎮まる墓地のほうへ/滑っていく」

 田中聖海さん「ブルーベリー」、本庄英雄さん「雪待ち草」、坂本孝一さん「誕生」。憧れの名手の皆様による、秀逸な詩とエッセイ。11ページの芸術!

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「感謝」 柴田望

「感謝」
*
 

不思議な力が働くのだ           
 

砂場に磁石を置くと
みるみる吸い寄せられる         
朝焼けに染まるために
黄昏が闇に溶けるために    
秋は紅、冬は白く塗装されるために
(どんな準備を重ねた?)          
仕事に就くために
企画が通って製品化          
顧客の手元に届くために
二人が出会うために     
理由なんてない訣れが訪れるために
向日葵が咲いて種が実るために
子どもが産まれるために
(どんな子ども時代を過ごした?)   
痛みがひどくなるために
病気が再発するために
(どうすれば治る?) 
ルールが定められるために
岩石中に含まれる磁鉄鉱類が
風化の過程で母岩から分離し
淘汰集積された堅を引き寄せ
純粋な結晶の球になれたとき…ようやく気づく 
砂場には他にも色んな大きさの    
球がごろごろ転がっている
その人たちから贈られている
 

不思議な力が働くのだ

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