詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■歴史ある文芸同人誌「海峡派」第155号(発行尾人・若窪美恵氏)

■歴史ある文芸同人誌「海峡派」第155号(発行尾人・若窪美恵氏)を初めて読ませて戴きました。御恵贈賜り、誠にありがとうございます。
 古賀博文氏の連載評論「日本語で書かれたアイヌ民族の詩文学Ⅴ」に注目。「日本の先住民族であり、もともと文字を持たなかったアイヌ民族が、明治期以後、同化政策の一環としてアイヌ学校で文字を習得し、それ以後、日本語で書いた詩というものもあるが、それも完全に見落とされてしまっている」「スポットライトを当てて、日本の詩史に加えなければならない」という心情。
 伊賀ふで、チカップ美恵子山本多助、宇梶静江(俳優の宇梶剛士の母)、アト゚イ、萱野茂の略歴と数篇ずつ詩作品の鑑賞。「日本語で書かれたアイヌ民族の詩」…メッセージ性の豊かな作品群を黎明期、揺籃期、現代の三つの時代に分けて考察。「おおらかなユーカラの精神へ」「自然と共存する思想」に誇りと確信を持って、現代社会へ警鐘を鳴らすスタンスへ変遷したという指摘や、日本の詩史が「東京中心の隻眼的な詩史」のままではならないという重要な提言から、貴重な学びを得ることができました。心より感謝申し上げます。