■1954年に第1号が発行された『北海道詩集』(北海道詩人協会)記念すべき第70号が遂に完成しました!!
新しい歴史の1ページが刻まれます。北海道詩人協会の皆様、おめでとうございます。北海道詩集編集委員会の皆様、お疲れ様でした。僭越ながら花を贈ります(収録作)。
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花 柴田望
書いてはならない
天使が舞い降りてきた
駐車場に羽根が積もる
空間の高さとなる
屋上で狙われた鳩の
現出は毟られ
鴉は鳴き声だけだ
鳩も鳩も姿はない
羽根の先端は黒く
根元に近づくほど芯は白い
朝は死に包まれている
死の中で車を停めて
食事を摂り
ラジオ体操する
死を踏みにじっている
死は触れることができる
存在の手がかりを辿る
映像で蘇生される
美しく踊るひとが纏う羽根は
毟られたものだ
ひとは死を纏っている
屋上に眠る骨に
贈る花は摘まれたものだ
アスファルトに敷き詰められた死は
廃棄される
死は再び殺されてしまう
■1954年(昭和29年)4月10日、全道規模の本格的なアンソロジー「北海道詩集」刊行の呼びかけが、全道の各詩誌に、加藤愛夫、更科源蔵と、旭川の鈴木政輝の3発起人でなされた。
同月29日札幌市時計台裏北海道教育評論社会会議室で第一回の企画委員会12名参加、編集委員が選ばれ、全道の詩誌へ呼びかけ、111篇の詩の集載が決定。9月15日「北海道詩集」第1号が刊行された。作品は募集が建前だが、各詩誌からの推薦が75パーセント。2号からは自由参加。以降毎年刊行が続く。
「この詩集刊行によって全北海道の詩人の精神的な交流と連繋がなされることを確信する故に、さらに詩人が社会的に意義ある仕事をするための基盤が必要であると思われる」
1956年(昭和31年)札幌医科大学講堂にて「北海道詩人協会創立総会」開催。実行委員は入江好之、奥保、河邨文一郎、松岡寛、米谷祐司、木津川昭夫、佐々木逸郎、千葉宣一、吉田稔、渡辺茂、代表理事に更科源蔵、和田徹三、入江好之。
「詩人が社会的活動から離れた存在であったり、孤独であったというようなことは、すでに過去の物語りにすぎない。われわれは北海道に住み、北海道を愛し、北海道の地域社会の中で詩人としての立場を主張しようとする会員が集まって、ここに北海道詩人協会を創設した。」
(『資料・北海道詩史(北海道詩人協会))
※北海道詩人協会自体は今年(2023年)が創立67周年、2026年が70周年となります。