■『微笑販売機』(高岡修 ジャプラン 2023年11月15日)は恐ろしい警告の詩集だ。「もともと/完全なる微笑を/人間はつくれやしないんだ」。「機械的に均一化された」微笑を「一日に何度も」販売機で買う。値段は書いていない。缶コーヒーくらいだろうか。均一化された微笑販売機の微笑こそが「本物の微笑だ」。しかし笑いは欠伸のように「未生の状態」で「噛み殺される」。生まれる前に殺される。度合いが難しい微かな笑いにも、自死や情死の権利は与えられない。無のゆらぎ、人間の剥製……、詩の危機が語られている。剥げ落ちやすく、見失う。