詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

・5月26日(土)、江別市のドラマシアター「ども」(江別市2条2丁目)にて、「朗読とお茶の会・午後のポエジアPart8」が盛大に行われました。
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第一部  朗読「もう一人の宮澤賢二~風と光にのって」
詩と音楽と映像で紡ぐ世界

・序  霜田千代麿
 (「春と修羅」の「序」です。朗読で聴けるとは!)
風の又三郎  小林暁子・松山敏
 (スクリーンに、藤城清治の幻想的な影絵上映)
・無声慟哭  霜田千代麿  
 (映画と朗読のシンクロです!時代を超えた映像の邂逅。)
・「オホーツク挽歌」より 
  噴火湾ノクターン)  菅原みえ子  ピアノ・柴田望
 (「そのさびしいものを死というのだ…」お着物姿の菅原さんが全身でとし子を表現され、その情熱に打たれました。「トシの死の翌年、賢治はオホーツクの海にトシの姿を追い求め、樺太へ旅した」霜田さんが読まれたとき、「星めぐりの歌」ピアノ演奏♪)
・集合写真  柴田望
 (自作詩です。「心象を写すカメラのあった時代・ある農学校の先生のまなざし」)
よだかの星  村咲紫音  サックス・松山敏
 (居場所を失い、命をかけて夜空を飛び、
  星になることを希求する。青白く燃え上がる星へ)
春と修羅  村田譲
 (「心象のはいいろはがねから…」宇宙を従えて、村田さんによる絶唱!「ZYPRESSEN 春のいちれつ」「おれはひとりの修羅なのだ」そうか、修羅なのか!!私の中で作品の解釈がすべて変わりました。村田さんの朗読を聴けた喜び、全身、震撼です。) 
・永訣の朝  斉藤征義 
 (プログラムには無題とありましたが、「永訣の朝」に聴こえました。妹を想う賢治の魂の叫び。斉藤さんの朗読、初めて聴きました。泣いてしまった…)
・イートハーヴの軽便鉄道  長屋のり子  ピアノ・柴田望
 (宮沢賢治作品に初めて出会ったときの新鮮な驚きや愛が、各駅次々と蘇る、胸ときめく長屋さんの自作詩。なんと前日の原稿を徹夜で半分に推敲されたとのこと。長屋さんの作品へ向かう御姿勢、学ばせて戴きました。)
・墨書  霜田千代麿    
 (皆さんで「どっどど どどうど どどうど どどどう…」霜田さんの「えいっ!」掛け声で「風」の字が刻まれ、出演者一同前へ。
 第一部終了となりました。)
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第二部  交流の広場

(朗読と自由参加)では紙芝居おばさんによる世界の挨拶。そして小笠原さんによる、思い入れの深い宮沢賢治作品の朗読。
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ポーランドの詩~ズビグニェフ・ヘルベルト没後20年を記念して~
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1 若いクジラの葬式  ミハウ・マズル(ポーランド語)  菅原みえ子(日本語)
(クジラのぬいぐるみも登場。菅原さんは海を連想される水色の御着物)
2 ためらうニケ  シルヴィア・オレーヤージュ(ポーランド語・日本語)
3 コギトさんの怪物  ラファウ・ジェプカ(ポーランド語)  村咲紫音(日本語)
(村咲さんが「でてこい、卑怯者!」で床をドン、と踏んだときの迫力!!)
4 小石  リリアナ・コヴァルスカ  ミコワイ・ジェプカ

(合唱)誰かに愛された  ポーランド人の皆様 ピアノ・安藤むつみ
(会場全体から自然と手拍子が!)
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16時より…交流会(ワインとスナック)
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北海道ポーランド文化協会の主催で、今年で8回目を迎える「午後のポエジア」、
6回目までは北大のクラーク会館で行われていたとのこと。
このドラマシアター「ども」の素晴らしさを、交流会のとき、ミハウ・マズルさんは
ハリーポッターの映画みたい。外から見たら狭そうだけど、中に入ってみたら広い!」と語ってくれました。
ワインとスナックの集いにまで参加させて戴き、誠に恐縮です。
今回、初めて参加させて戴きました。この会のことは、昨年長屋さんから戴いた資料や、
花崎皋平さんが未知谷から出された新しい詩集『チュサンマとピウスツキとトミの物語他』にも書かれていて、
お声掛け頂き光栄にて、期待と恐怖で胸を高鳴らせつつ、江別へ参りました。
「ども」は舞台装置も整った本格的な劇場。コンサートも行われています。
詩と音楽と、ポーランドと日本、両国の文化への愛に満ち溢れた奇蹟のような集まり。
その空間に居ることができた喜びいっぱい、貴重な経験をさせて戴きました。本当に、ありがとうございました。
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霜田千代麿さんによると、来年は「寺山修司」をテーマにされるとのこと。
今回、誠に恐縮ながらなんと柴田が宮澤賢治役、菅原さんが妹のとし子役というかたちでした。
あの四つの椅子は、汽車の座席の表現だったのですね。(どっどど どどうど どどうど どどう…)
事前に、菅原みえ子さんより、詳細な手書きの説明書きを戴いておりまして、
私の役目は、霜田千代麿さんが「トシの死の翌年、賢治はオホーツクの海にトシの姿を追い求め
樺太を旅した」と仰っている間、ピアノで「星めぐりの歌」を弾く。(できました!)
菅原みえ子さんが「噴火湾ノクターン)」を朗読される前に、ノクターン風、追悼のピアノ演奏。
リハーサルの後、オホーツクの海を彷徨うので、もっと激しくていい、と村咲さんにアドバイスを戴き、
本番は迫力を持たせるようにして、しかし短めにフェイドアウト、菅原さんの朗読が続きました。
菅原さんが「そのさびしいものを死というのだ…」で一度原稿をパタンと床に落とし、
「どうしてもどこかにかくされたとし子をおもふ」で最後原稿を落として朗読終了。
その後立ち上がって柴田が自作詩を朗読。リハーサルで声を出させて戴いたとき、
宮澤賢治とのつながりが分かりにくいな、と反省し、その場で急遽、最初の2行の()書きを足しました。
宮澤賢治はオホーツクへ行ったときも、一応、農学校の先生でした。
私のようなできの悪い生徒へも、理解のまなざしを持った先生であったに違いないと、願いをこめて。
すみません、勝手な想像です。
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「 集合写真 」                

( 心象を写す カメラのあった時代
  ある農学校の先生のまなざし )

してはならないことを かれは何度も繰り返す
何故それをやるか? 誰も訊こうとはしない
失礼ながらみんな じぶんの言いたいことを
言っているだけだ じぶんの言いたいことを
訊いてほしいのは かれだけじゃない

つりあいをとっているのだ 迷惑をかける理由は 
そうすることで ようやく つりあいがとれるだけなのだ 

そもそも何が言えるのだ
かれと同じ体験を誰もしていない
それほど強く殴られたわけじゃない
してはならないことを どうしても
しなければならないほどの 犠牲なのか 周囲だけじゃなく 
かれ自身わかっているのだ どうすればいいか その答えを

たまに忠告するだけじゃダメだ 変えたいなら
まずはこちらの行動を 根本から変えなければ
その覚悟もないくせに とやかく言っても 見抜かれます

どうすれば解決するか わかっているから悩むのだ
重い腰が 持ち上がらないから悩むのだ

かれひとりの問題じゃない わたしたち全員に
与えられた課題なのだ たましいの修行だから
解決しなくたって いいじゃないか
頭を寄せあって それでも解決しないから
みんなのためになるのだ かれのおかげじゃないか
卒業しなくたって(ダメだけど…)いいじゃないか

問題が舞台を去って してはならない過ちを 繰り返すのをやめて 
忘れかけて 温泉旅行で撮った写真だ 家族みんなで撮った写真だ

みんな笑っている つりあいがとれているのだ

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無事出番を終えて、村田譲さん(北海道詩人協会新会長)の凄い朗読を客席から見ることができ、
それはもう会場全体を震撼させるようなもので、途方もなく、凄い修羅です。
村田さんの朗読が終わって、斉藤さんの朗読のときに、例の四つの椅子のどれかに
宮澤賢治である私と菅原さんのとし子が座るので、ステージに上がろうという瞬間に、
長屋さんに「朗読の間、何でもいいから弾いていてほしいの」と、突然小声で言われ、嬉しく
しかし、斉藤さんの朗読、妹を思う兄の気持ち、涙溢れました。
長屋さんの朗読、宮澤賢治の世界の魅力を伝える、作品への愛に溢れたそれはもう凄い詩で、
とてもかわいらしいお声なので、ピアノ伴奏も必然的に高い音の範囲から
インプロヴィゼーションで途中スケールも変えて変化を持たせつつ、
長さ等は全然知りませんでしたので、もう長屋さんの声と呼吸を聴きながら、それだけが頼りで
シンクロできますように全身で聴いて、宮澤賢治作品の各駅を次々と進んで、ピアノを弾きながら
次の駅が楽しみで、もしかしたらもうすぐここかな、というところから「星めぐり歌」の
主旋律にして、2コーラス目のB♭で終了。(願いが叶いましたら、ぜひテキストを拝読したいです☆)
長屋のり子さんとセッションをさせて戴きました。柴田今までの人生で、ピアノ弾いてきて、良かったです。
光栄な機会でありました。忘れることはできません。本当に、ありがとうございました。
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2018-05-26.

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