詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

西原真奈美さんの新詩集『朔のすみか』(2019年1月19日発行)

■宝物の写真、です☆
  
 西原真奈美さんの新詩集『朔のすみか』(2019年1月19日発行)。ここ、絶望的に雪深き地へ、届きました。ありがとうございます。結晶の嵐さえ暖かく照らす街灯の光のごとく、温度を感じさせてくれる詩集。
 
 「食べられるものが何もないの」(「朔の月」) 私たちは日ごろ命を戴いている。食べられるもの=命、が「何もない」という。私たちは命を戴きながらも、柔らかさから硬さへ、ヒトからモノへ、有機から無機への道をだんだん歩んでいく。時には性急に向かってしまう。「緩慢な死と引き換えの今を/注意深く 選び取るために」 その絶望的な状況が描かれているのに…それだからこそ、優しい決意のまなざしに守られていると信じられる。「凝らしつづけよ/必ず見つける者として/暗がりの中のすみか/あなたにかかる 朔の月」 そのまなざしが、生きにくさを抱えたすべての者に注がれていると希い、信じられる。「名を呼ぶ非望と/あなたの静けさに撃たれながら」(「水際を侵して」)

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