詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

「安部公房たより」 2019年7月6日(土) 特別講演「安部公房を語る」

2019年7月6日(土) 特別講演「安部公房を語る」

村田先生、誠にありがとうございました!!
東鷹栖安部公房の会一同、心より御礼申し上げます。

■2019年7月6日(土) 13時30分より、東鷹栖公民館2階講堂にて、北海道教育大学准教授村田裕和先生による特別講演「安部公房を語る」が行われました。
 「安部公房現代社会」について。
 「いまから六〇年も前に書かれたこの寓意的小説は、「予言機械」(それ自体まさにAIの先駆的な予言!)によって見通された自分自身の未来に翻弄される主人公を描いて、日常的連続性への依存を厳しく批判する」と今福龍太氏が語る『第四間氷期』(1959年)は監視社会、グローバル化(経済利用・格差是正)の問題、温暖化やクローン技術、AI技術、人造人間(ロボット)も登場。予測困難な時代、AI社会が人間の生と死をどのように変化させるのか? といった問題も扱われている。また、『カンガルーノート』(1991年)では介護の問題から、献身的なケア=自己放棄を求めることは正しいことなのだろうか? 正しい介護のあり方、求め方とは? という問いが生じる。「賽の河原」で石を積む子どもたちの歌声。長い時間、様々な旅を経て移り変わっていく、一人の人間の身体・時間をえがくこの作品も、「生きて、死ぬ」ことを見つめ直すきっかけを与えてくれる。安部公房が生きているときには存在しなかった現代社会の最先端の問題にも、安部公房作品の普遍性は様々なヒントを与えてくれるのだという貴重な気づきを得ることができました。

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