詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

北海道新聞夕刊にて、先日ご紹介致しました『青芽反射鏡』『フラジャイル』同人、荻野久子さんの新詩集『記憶の風』(青い芽文芸社)のこと

■本日10月15日の北海道新聞夕刊にて、先日ご紹介致しました『青芽反射鏡』『フラジャイル』同人、荻野久子さんの新詩集『記憶の風』(青い芽文芸社)のこと、大きくご紹介戴いております!! 本日、富田正一さんに、喜びの電話をさせて戴いたところ、他にもグラフ旭川、メディア旭川、名寄新聞等々、マスコミ連絡手配&ほぼ既に取材済み☆とのこと、富田さん流石です。11月5日の旭川詩人クラブでお会いできます機会を心待ちに致しております☆
 
 ~家族や農作業の思い出残したい~
 詩集『記憶の風』自費出版

 『記憶の風』は2007年に発行した『ニオ』に続く第2詩集!記事の中では詩作品「美声」「母の愛」など紹介されております。ご出版、誠におめでとうございます!!

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■『青芽反射鏡』『フラジャイル』同人、荻野久子さんの新詩集『記憶の風』(青い芽文芸社)が10月、ついに発行されました! 生命の根幹に届く詩質。戦後の時代は絶え間なく耕された土壌であり、無数の命が育まれ、私たちは共生している。「人間の知と努力のほかに/自然界の恵みによって/人々の生命が/生かされている」(「天与の恵み」)。情報化社会の大都市の真ん中にこの一冊が置かれるとき、人類が何を置き忘れて進もうとしているかが明らかに浮かび上がってくる。富田正一さんが編集され、全27篇、9篇ずつの3部構成(「Ⅰ・記憶の記憶」「Ⅱ・母の愛」「Ⅲ・記憶の風」)。冒頭の作品、少女時代の「記憶の記憶」では、「小学校になったうれしさ/新しい教科書をいただいた」ところが「入学してから 一年足らずで/終戦を迎えた/この日を境目として/「こくご」 の教科書が変わった/ページの いたるところが/墨色で塗りつぶされ/言葉の意味が/通じたものか 通じなかったものか」人間の価値観は脆く、時代によって言葉の意味も変化する。時代が変わっても変わらないものとして、人間を生かす自然の仕組み、生命の鼓動が対照的にえがかれる。「ひと粒の中に/込められた時間/未来への大地を/青空を/風を/雨を/おおきな大きな世界を/内臓している」(「ひと粒の種」)。「地下には 水の層が/いく重にもあるらしい/汲んでも尽きぬ流れは/どこから来て/どこへ行くのだろう」(「いのちの音」)。かつて当然であったことは、いつ珍しくなるのか。変わらないもの、忘れてはならないものは何か。長年旭川の地で、激動する時代の中で、通徹して生の根源に向かい続けた、その手で無数の命に触れ、育んだ(荻野さんの言い方では、「考えながら お手伝いをしていると思う」(「天与の恵み」)、実質感溢れる感性の記録。一人の詩人によってすくいだされた「精気みなぎるプリズム」(「菜園の坂道」)の一冊。

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