■一色真理さんの新詩集『幻力』(2020年10月19日 モノクローム・プロジェクト)を拝読させて戴き、表紙の中に表紙が存在する、騙し絵のような、言語でしか構築できない超自然、超自我の夢体験を彷徨させて戴き、安部公房の『壁ーS・カルマ氏の犯罪』を初めて読んだ時のように興奮致しております。
昨日は46年ぶりの10月31日の満月。ブルームーンの監視のもと、「昨夜、きみがボールペンで書いた「月」という丸文字。/よく見ると、真ん中の線が一本多い。」(「検閲」)。検閲を受ける誤りこそ、無限の想像力の起点。
後半の河野くんの作品群に合わせ鏡のように吸い込まれ、圧倒されております。河野くんは羨望の対象であり、その裏の孤独であり、詩人であり、友人であり、私であり、あなた…
命がけの、生と死の、「し」を書くたたかい。「〇」と「。」。マカロニ・ウェスタンの数々の代表的映画を想起しつつ。「きみには分かった。「間違える」こと。「間違え続ける」のを恐れないこと。それがきみに父親が伝えたかった正解なのだ。」(「再会」)。