詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■田中さとみ『百式』(現代詩書下ろし一詩篇による詩集 懐紙シリーズ第五集 阿吽塾刊)

田中さとみさんから、『百式』(現代詩書下ろし一詩篇による詩集 懐紙シリーズ第五集 阿吽塾刊)を戴きました。阿吽塾からもお送り戴きました。幸せです。最高です。戦慄を覚えています。心より感謝申し上げます。

 「side-Qの断片とsuicide-Rを縫合する
  センリツの横顔にシトラスを並べる」

 30年以上前に、百式という金色が出てくるテレビ番組を、リアルタイムで見ていました。sideはスペースコロニーのことで、ザーン、ハッテ、ムンゾ、ムーア、ルウム、リーア、ノア、ガイアの8つでした。星の巡りを強烈に意識させる番組で、土曜日の放送でした。週明け、男子は誰もが熱く、語っていました。

 「硝子玉をポケットから取り出そうとする
  
  放射状に床にこぼれていった

  ミドリの瞳の中に無数の色が映えた

  鈴の音を鳴らすように逃げていく」

音も、色も、重力も、すべての時間も止まります。
そして、迷い込むのです。

「円卓を囲みながらお茶会をしているテンプラの
 ぬいぐるみ(リムセ)たちはビスケットをこぼし
 中空の回りを巡回している」

リムセは、アイヌ語(踊り)でしょうか。

球体間接人形を、私も、持ち上げたい。

たぶん、百回読みます。

空からの恩寵を、秘密を、アスタリスクだけのページも、剥き出しにされた言語の有機性の高い一篇を、お贈り戴き、ありがとうございます。
心より感謝申し上げます。

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