詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■詩誌「蒐」15号(蒐の会 2021.7.10.)

■詩誌「蒐」15号(蒐の会 2021.7.10.)を御恵贈賜りました。誠に、ありがとうございます。
 「蒐」のレイアウトは、A5版見開き2ページで、散文詩だと37行ぎっしり入る作品もあり、行間が狭く組まれているのに、広く感じる。作品の力量のためだろうか。4人の詩人の言葉で編まれる世界観が確立されているためか、ページを捲ると、それぞれの魅力が咲いているように感じる。詩とエッセイ。じつは「フラジャイル」も「蒐」や「まどえふ」のような同人の作品だけの薄い冊子で、創作を純粋に磨くような詩誌を当初目指していたはずが、なかなかそうはならないのです。
 田中聖海さんの「キヤマ雑品商会」は、「それぞれの傷と疲弊」や歴史をもつ雑品が美術品のように丁寧に描かれていて、想像するのが楽しくてたまらない。
 本庄英雄さんの「初夏の夏」、初夏の景色に「鬼籍の人」たちの笑顔の記憶、茹でたジャガイモとバターの匂い。「忘却の海の底」…青函連絡船「桧山丸」以前に1954年の洞爺丸台風で5隻沈没。再就航のために「空知丸」「桧山丸」が建造された。
 「ワラビ」「ヤブレガサ」「コウテイカイザイク」「モクゲンッジ」の魅力と知識を詩の言葉で味わえる贅沢な「T公園の植物」(渡会やよひさん)
 夏の景色を、季節を、人々の生きた時代を、「たくさんの締めつけ」の霧散を、波音の村をはしる、「はしる構図の荒涼たる問い」を胸に、再読を誘う走馬灯のビジョンを与える坂本孝一さんの「はしりびと」、鑑賞させて戴き、貴重な勉強の機会を賜りました。心より感謝申し上げます。

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