詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■支倉隆子さんによる編集・発行の「水玉問答」83号に、山田亮太さんの詩集『誕生祭』(七月堂)の感想を寄稿させて戴きました。

■支倉隆子さんによる編集・発行の「水玉問答」83号に、山田亮太さんの詩集『誕生祭』(七月堂)の感想を寄稿させて戴きました。私の文のページのみここにアップさせて戴きます。詩集『誕生祭』は私にとっては日本の現代詩という狭い評価の枠を大きく超えた、世界規模の詩集です。
 「ポエジーと言っても、もういけないのだと思います。ポエジーと言ったら、全然だめになっちゃいます。途方もない、なけなしの力のあらわれ、みたいな。……もしかしたら、ビートルズやジミヘンとか、「ロック」の精神の根底にあるものが、いちばんそれに近いのかも知れないな、……そういったものを追いかけなければいけない。そう、存在の修羅場みたいなもの。だからもう、詩とか散文とか言っててはだめなのであって、わたくしなどはそれを壊そうとしてやっているのです。」(吉増剛造著『詩とは何か』講談社現代新書
 詩とか散文とか…詩の言葉かどうかといった国語の授業のような閾値を遥かに超えた、「マイナンバープロジェクト」、「叙事詩鷹栖」…TOLTAの実験的な創作行為による成果物と同時に、実験的行為そのものが作品であり、上空に突如現れた詩の視えない球体が地球上のあらゆる声を砂鉄のように吸い尽くして沈黙させ、声によって街や惑星の歴史を純化し、再構築する試みのようです。《いま》を言語に拓き、無数の他者に響かせることのできる唯一の詩人が「文章を構成するあらゆる原子の順序を一新する」(ニーチェ)。「従来の概念とは別の次元から選ばれ召喚された詩句が確かに詩を織りなした証」と書かせて戴きました。私には上手く言えませんが、志向の規模が他の詩人とはまるで違うのです。土の時代から風の時代へと進化したのです。秒単位で新しい時代へ根底から生まれ変わり続ける存在の修羅場、《いま》が「誕生」の「祭」と名づけられたのです。

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