■「小樽詩話会」第638号 (2021年12月 小樽詩話会)
「音楽」 柴田望
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専制君主のミック・ジャガーが
ソロアルバム(『She's The Boss 』)を出した頃…
キースが止めるのも聞かず、
朝五時に酔っぱらってチャーリー・ワッツに電話した。
「〝おれのドラマー〟はどこだ?」
二〇分後、ドアにノックの音 チャーリーがやってきた。
サヴィル・ロウで仕立てたスーツ、ネクタイを締め
髭を剃り、香水までつけている。
ミックの胸ぐらを摑み、顔を殴り、一撃で倒した。
「二度とおれをお前のドラマーと呼ぶな、〝おれのシンガー〟」
ドアーズやT・レックスに夢中になるずっと前から
あなたのビートを聴いていました。
高校のとき、『Flashpoint 』(一九九一年)を
カセットテープが擦り切れるまで聴きました。
ビル・ワイマンがいたころの初来日のライブで 世界一、
誠実で謙虚で、優しくて強くて、紳士的な
最強のリズム隊でした。
「左手でスネアを叩くときはハイハットを叩かない」
一人の仕事人として これからもあなたを意識し続けます。
チャーリー・ワッツ氏の訃報に接し
心よりお悔やみを申し上げます