詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

・NHK映像の世紀バタフライエフェクト「ヴェルヴェットの奇跡 革命家とロックシンガー」

https://www.nhk.jp/p/ts/9N81M92LXV/episode/te/WKRMK8NPRK/

NHK映像の世紀バタフライエフェクト「ヴェルヴェットの奇跡 革命家とロックシンガー」

■5月9日…ロシア戦勝記念日のこの日、NHKで放送されたことに大きな意味を感じております。
 大学時代に読んだルー・リードの詩集『ニューヨーク・ストーリー』(梅沢 葉子 訳)に、「正しいことをやる」と題された、ルー・リードによるハヴェル大統領のインタビューが掲載されており、そこでチェコスロバキアの「ヴェルベット革命」や「憲章77」、劇作家で大統領になったヴィーツラフ・ハヴェルについて学びました。

 「60年代の全精神が、反体制の反乱が、私の世代や若い世代の精神面に大きな影響を与えて、それがものすごく奇妙な方法で現代まで受け継がれています。」
 「私自身は憲章77の最初の3人のスポークスマンの一人でした。私が言いたいのは、音楽、アングラミュージック、特にヴェルヴェット・アンダーグラウンドというバンドの1枚のレコードが我が国の発展の中で重要な役割を果たしたということです。アメリカ人の多くがこのことに気づいていませんね。」(ヴィーツラフ・ハヴェル)

 ルー・リードが1990年にプラハを訪れたインタビューについても、番組の後半に詳しく紹介され、その時ギャラリーと呼ばれるクラブで行われたライブ映像、ルー・リードとプラスチック・ピープル・オブ・ザユニバース(PPU)の共演の映像も見ることができ、とても感動的でした。

 「私がもちかけた演奏曲を全部かれらは知っていた。まるで私のうしろにモー、ジョン、スタールがいるようですごく晴れやかな気分だった。」
 「私の音楽を演奏して刑務所に入っていた者もいた。刑務所に入っていた時、自分を勇気づけ慰めるために私の歌詞を暗唱していたと大勢が言った。」(ルー・リード

 河出書房新社の『ニューヨーク・ストーリー』(梅沢 葉子 訳)を手に入れたのは1992年…高校生でした、なんと30年前です。そのときはNHKでこんな映像が観れるなんて思ってもみませんでした。番組では「憲章77」にインスピレーションを受け、2008年の12月10日に作家劉暁波ら303名の有識者がインターネットで世界中に広めた「零八憲章」のことも紹介されました。服役中に死去したノーベル平和賞受賞者・劉暁波の著書『現代中国知識人批判』を、尊敬する伯父の野澤俊敬(北大教授、中国文学研究)が訳しました。

 人々の魂を呼び覚ましたヴェルベット・アンダーグラウンドの芸術(あの「シスターレイ」等の入った真っ黒いセカンド『ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート』)と、「機関銃や戦車も人間の意志や理念に勝てません。」というヴィーツラフ・ハヴェルの言葉が現代の言語空間に深く刺さるようです。

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