詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■田中淳一氏の詩集『生と死のあわいに迷子』(モノクローム・プロジェクト)

田中淳一氏の詩集『生と死のあわいに迷子』(モノクローム・プロジェクト)をご恵贈戴きました。誠にありがとうございます。
 P46の詩篇アポトーシス」に「原子が結合して分子となり化合物を作っても/原子はすべて小刻みに揺れる/しかも軽い同位体ほど大きく揺れる」とあり、P92あとがきに、「私の心は、生と死の間で揺れ動いてきました。」とあります。その目に見えない波動の揺れのような感性を詩は捉える。「マイノリティのさらにマイノリティ」に向けられた作品かもしれないけれど、深い共感の得られる作品集だと思いました。Raidohead に「Idioteque」という有名な曲があります。社会的な問題の扱い方が特徴的で、この詩集に共通すると感じました。「希望や救い」やプロパガンダ的な表現ではなく、 厭世的な表現が問題の本質に届いて、効果的でした。間い、淡い、はっきりどちらかという生と死の二極の「あわい」も無限であるということを詩は教えてくれるのだと感じました。心より感謝申し上げます。