詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■ 来羅ゆらさんの詩集『闇を泳ぐ』(竹林館)

■カバー画(安元亮祐「五つの風」)も美しい来羅ゆらさんの詩集『闇を泳ぐ』(竹林館)をご恵贈戴きました。誠にありがとうございます。闇の中を発光しながら、または発光せずに泳ぐ魚。人生の秘密、誰にも言えない、または誰かにだけそっと打ち明けるかもしれない、抱えている時間に触れる。「淋しい手と/背中の/ふれあい」、ここにはいない「あなた」の俤の背をなぞる「ハンガー」という短い作品に衝撃を受けました。冒頭の「足跡」には雪山を行く、「命と足跡が静かに後をついて行く」一頭のオオカミ。アイヌとは共生していたエゾオオカミは、本州から渡ってきた人間により1900年ごろには絶滅へ追い込まれ、食物連鎖が崩れた。だからエゾシカが今も害獣になっていることを、あさひやま動物園の展示で学びました。闇の中を泳ぐ魚。心を形成する核の芯に眠る歴史の記憶。

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