■「ブレーメン館」第20号(終刊号)をご恵贈戴きました。誠にありがとうございます。次号からは、名前を変えて新たにスタートされるそうです。
終刊のスペシャルということで、いつも鋭い純粋言語の結晶のような作品を寄稿されている界兀歩さんの、詩ではない詩的な文章、「つれづれなるままに かえりみツツ あおられツツ ヲオ、ノオト S*SOS*S 覚え書き」を興味深く拝読、「ブレーメン館」2号(2004年)の小岸昭氏の「翻訳者の使命―知里幸恵の晩年」を振り返り、ベンヤミンの翻訳の概念からcalling(呼び出し/促し/召喚/使命/天職/仕事等)について。「すべてはここから始まる。そして、アイヌ学研究学生金田一の熱意に応えるように幸恵の内にcallingが目覚める。アイヌ語・日本語両語間で言わんとするもの(言わせるもの)、その血縁性の追求とその証明である。」…知里幸恵『アイヌ神謡集』とベンヤミンの『翻訳者の使命』が同じ1923年に出版されていたとは、初めて知りました。詩と人間性の「こだま」として、界兀歩さんの実作にも触れることができ、感激致しました。心より感謝申し上げます。