詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■鳴海篁詩集『光の中へ』(写真:青山秀行 編集:中江庸 印刷・製本:アイワード 2022年10月28日)

■鳴海篁詩集『光の中へ』(写真:青山秀行 編集:中江庸 印刷・製本:アイワード 2022年10月28日)を拝受致しました。ご恵贈戴き、誠にありがとうございます。
 筆名の「篁」は中村喜代子さんに捧げられた詩篇「行間のエール」に登場する小野篁からでしょうか。室蘭の詩誌「詩邦人」に掲載の作品も、詩集では印象が異なります。写真とのコラボも光のように詩と響き合いう、死と再生の詩集。「カロート」(お墓の中で遺骨を納める・安置するスペース)という言葉が登場する詩篇「セラミック」、「生命の環から」はじき出されても、「君は土には還らない/カロートの中から/白い光を放ちつづけ/今日も明日も 私たちを見守るがいい」(「セラミック」)。次の世代へつなぐ、生命の季節のサイクル。「相生と相剋の宇宙は/たがいに引きあい惹かれあう/永遠回帰の神話」(「光の中へ」)、表題作の註釈に『ツァラトゥストラ』の最後に永遠回帰が肯定的に書かれていた(「これが人生か、では、もう一度!」)とあり、『この人を見よ』にも永遠回帰が「およそ到達しうる限りの最高の肯定の定式」とされていたことを憶いだしました。心より感謝申し上げます。

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