詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

世界中のすべての詩人の皆さんへ

ある困難な国の一人の詩人が、全世界の詩人に対し、
何かを訴えるという姿勢に心を動かされ、
日本の詩の世界で、そのような動きが果たしてあっただろうか、と考えさせられました。

世界の詩のあり方と日本の詩のあり方は、同じなのか、違うのか…
今まで持ったことのない問いを抱きました。

「ウエッブ・アフガン」編集長の野口壽一氏よりメールを戴き、
「日常使っていたペルシャ語が弾圧され、詩歌や歌や踊りが奪われ、
絵やデザインやあらゆるアートが禁止され、人間であることが否定され、
人間としての進歩を暴力によって逆転させられようとしている」
アフガニスタンの状況について知りました。

ヘラート州の州議会議員であるとともに詩人・作家として活動してきたソマイア・ラミシュさんのメッセージに心を打たれました。

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「バームダード(夜明け)」  囚われと亡命詩人の家

作品をお寄せください

囚われと亡命詩人の家 バームダード (Baamdaad「夜明け」)は、表現の自由と平等に取り組む世界中の詩人、作家、文学・文化団体に、アフガニスタンの詩人たちとともに芸術表現による抗議運動に立ち上がるよう呼びかけます。
私たちの運動は、世界の詩人たちの連帯を象徴し、詩の不滅性と永遠性を示すことを目的としています。また、あらゆる抑圧や不正に反対するヒューマンな行動でもあります。
バームダードは皆様にお願いします。想像してください、詩、自由、思考、そして幸福さえも禁じられている国にいる自分を。そして、そのイメージを詩で表してください。バームダードは、2023年4月15日「世界芸術の日」までに投稿を集め、オンラインで発表します。
詩、略歴、写真を<afghanistan.poetry@gmail.com>までお送りください。

心からの敬意をこめて

ソマイア・ラミシュ
「バームダッド(夜明け)囚われと亡命詩人の家」創設者

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アピール:世界中のすべての詩人の皆さんへ
https://afghan.caravan.net/2023/02/14/appeal_by_baamdaad/

一昨日、FacebookTwitterでソマイア・ラミシュさんとやりとりができました。
気になることをいくつか質問し、回答を得ました。

・「詩」、「略歴」は英語・ペルシャ語ではなく、日本語でも大歓迎です。
・参加する詩人に費用等の負担は一切ありません。
 (後から金額の発生する出版詐欺等ではありません。)

・詩作品に字数・行数の制限はありません。
・ソマイアさんが創設した組織、「バームダード(夜明け)」の本拠地はオランダ。
 タリバンが詩作禁止令を布告したので、アフガンから亡命している世界中の詩人たちが創りました。

柴田からのいくつかの質問に答えて下さいました、メールの一部(翻訳)を転載します。

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Q) 参加した詩人に負担はあるか? 
A) いかなる負担もございません。
Q-1) Do poets who agree with your call and participate in the campaign have to bear any costs? NO – It does not make any kind of payment.

Q) 作品および履歴を日本語で送ってよいか? 
A) OKです。印刷に当たっては原文と英語翻訳を掲載します。
英語での提出、というのは当方からの希望であって、
詩人のオリジナル言語でお送りくださって結構です。
Q-2) Can the poet send their poems and biography in Japanese?
If you can accept poems written in Japanese, I will be able to collect
many poems. If not, it will be a little difficult to gather participants.
Yes, they can send poems and biographies in Japanese. We will publish an original language version and an English translation at the time of printing. We only prefer it to be in English, but if it is also sent in the original language, we will accept it.

Q) 詩作品に字数・行数の制限はありますか?
A) ありません。
Q-3) A: no there is no any limit on the length of the poem .

Q)A: 「バームダード(夜明け)」の目的や運用について 
A) 早急にウエブサイトを立ち上げます。それを参考にしてください。

B: 設立日は? 
A) 2023年1月20日です。ターリバーンが詩作禁止布告をしたので詩人たちが集まってつくりました。

C: 本部所在地は? 
A) オランダです

D: どんなメンバーがいますか?
A) 世界中の詩人、アーチスト、作家。(アフガン人の亡命者は世界中にいます。)
 検閲や詩の弾圧に反対し自由をもとめて活動します。

Q-4) About the overview of 'Baamdaad'?
A: Do you have a purpose and operating terms of reference? If so,please show them.
As soon as possible we will activate our website.
B: When was it established?
20 Jan 2023 - After the Taliban issued a decree restricting poets from writing poetry, a group of poets started this movement.
C: Where is the headquarters?
In The Netherland.
D: What kind of members do you have?
Poets, artists and writers from all over the world can be members.
We work against censorship and suppression of poetry. We work for freedom.

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ソマイア・ラミシュ(Somaia Ramish)さんの詩篇「ガニーを逮捕せよ//Interpol Arrest Ghani」
こちらからお読み戴けます。
https://onl.la/6BVuLSF

ソマイア・ラミシュさんのTwitterは@SomaiaRamish
Facebookhttps://www.facebook.com/somaia.ramishです。

このアフガニスタンのことを知る直前に、
パブロ・ネルーダの死因が毒殺だったというニュースを読みました。
また、『北海道=ヴェトナム詩集1』(同書刊行会)という、
昭和40年に江原光太、古川善盛、堀越義三ら伝説の「詩の村」の詩人たちが
中心となって発行したとんでもない一冊が手元にあります。
小熊秀雄、今野大力が活躍した詩のマチ、旭川
詩誌「青芽」~「フラジャイル」は戦後77年続く詩の取り組みです。
遠い異国の地で詩を続けていく意志を持つ詩人の声を皆様にお届けしたく存じます。

皆様に参加をうながすという以前に、世界の「詩」に関する、
このような動きを知って戴けたらという思いで、
発信元の方々と理解を深め合い、責任を持ってお伝えさせて戴きます。
https://afghan.caravan.net/

2023/2/20

柴田望
(詩誌「フラジャイル」主宰)

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