詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

“バームダード(夜明け)”  囚われと亡命詩人の家 作品をお寄せください

https://afghan.caravan.net/2023/02/14/appeal_by_baamdaad/

“バームダード(夜明け)”  囚われと亡命詩人の家

作品をお寄せください

囚われと亡命詩人の家 バームダード (Baamdaad「夜明け」)は、表現の自由と平等に取り組む世界中の詩人、作家、文学・文化団体に、アフガニスタンの詩人たちとともに芸術表現による抗議運動に立ち上がるよう呼びかけます。
私たちの運動は、世界の詩人たちの連帯を象徴し、詩の不滅性と永遠性を示すことを目的としています。また、あらゆる抑圧や不正に反対するヒューマンな行動でもあります。
バームダードは皆様にお願いします。想像してください、詩、自由、思考、そして幸福さえも禁じられている国にいる自分を。そして、そのイメージを詩で表してください。バームダードは、2023年4月15日「世界芸術の日」までに投稿を集め、オンラインで発表します。
詩、略歴、写真を<afghanistan.poetry@gmail.com>までお送りください。

心からの敬意をこめて

ソマイア・ラミシュ
「バームダッド(夜明け)囚われと亡命詩人の家」創設者
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poem ("Akatsuki")

「 暁 」
         柴田望

眼差しは走る 微熱の波
嘘みたいな命令の地面を予感していた
静かな時間がくぐり抜ける
反宇宙の声の決意にもえながら
威厳の孤立を消すことはできない
薙いで冴えわたる地平の宿命の形態と
混沌を紡ぐ姿勢は走る
個体の名のもとに狙われている
決して断罪の甦りではなく
渦巻への距離を渇いていた
切り文字のような共感の味方で
こころの闇の吹き溜まりを掬い
正続二編の悪夢が打ち寄せる
目指す相手を証拠づける
引き裂かれた不定形さを結びながら
矛盾に満ちた焦点の化身が襲う
むなしさの占める廊下で
構造の爆砕を一心に刻む
失意の気圏に飼いならされ
療養の眼底の渦へ抜け落ちた夜
もう一つの生の文様を織っている
地をはう虫の視線の切り文字は走る
透きとおった夜明けを
全身で告発するのだ
渦状の網目 取り除けられた未来
発音されたことのない狂い
巨大な笑いをえぐれば闇が雪崩れ
影の現存として焼かれた
二分された空洞のうえに
とつぜんの傾きに歴史は滅ぶのか
宝玉に連ねる呪文の逆作用
関心の沈黙は遠のき 分身の塔を讃える
灼けつく季節を笑い返し
雲の謎に呪縛され航跡を曳いて過ぎる
痙攣する領土で繰り返した試みが
石に変わるべき時間を告げる
地球儀を包装する秩序の紙幣
国土と云い張る塗り替えられた色彩
人工の光を密かに追い討つ
太陽の落す帯から逃れようとして溶ける
誰が誰の支配であるかを確かめる停電
エレベーターに潜む遠慮がちな商標
読みつくせなかった異形の落書き
時刻表を操る季節のならわしに疲れて
はるかに小さな一点に移住させる
頼りない冬の足跡だらけの広場に
訣別を叩きつける花火 合図の終わり
言葉は半旗を凍結させ
放射の中心の原理を告発する
存在しない矢印に聖化し
仮の波の遺恨の乱反射を飼い殺し
生きている人間のものではない
空白の循環をしだいに乱す
奥行に屈服するわけにはいかない
過剰な裂け目に身を委ね
全速力で表記する観念の祭り
おびただしい偏執の出発を浪費させ
眼差し走る 血統の螺旋の痛み
水晶の予感が煌めきだす修正の時刻
予感された無音を眼の予感が見つめる
導かれた閾値の全域を記憶は襲う

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