詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■詩誌「詩素」第14号(洪水企画)

■詩誌「詩素」第14号(洪水企画)をご恵贈賜りました。誠にありがとうございます。
 二条千河さんの「業火」、2時間くらいの映画を観たような読後感、臨場感です。「黄昏の炭都」「枯草の覆う鉄路」「看板の剥がれ落ちた映画館」…上砂川町から悲別ロマン座を私は想起しつつ拝読しておりました。数年前、上砂川町三井砂川炭鉱跡へ何度も足を運び、新旧の遺跡から様々な聲が聴こえる気が致しました。
 小島きみ子さんの「子豚のような、わたしがいる古い写真」、「(薔薇)」「(明るさ)」の()括弧は「はなびらのうえに命が在った人」の「レースの手袋」の手が優しくそっと包みこむような括弧で、古い写真の焦点へ導かれました。
 たなかあきみつさんの「チェヴェングレールの食卓風景」、プラトーノフの孤高の魂に触れ、薄紫の時刻がジュリー・ロンドン「The End of the World」とともに拡がりました。
 小島きみ子さんによる「ことばの場所が持っている像(カタチ)」、坂多瑩子さんの詩集『物語はおしゃべりより早く、汽車に乗って』(書肆子午線)論、「ことばのおもしろさが、やがて愛おしさや悲しみに変化する場所」のご指摘、興味深く学ばせて戴きます。f:id:loureeds:20230507215106j:image