詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

『上林俊樹詩文集 聖なる不在・昏い夢と少女』(岡和田晃編・幻視社別冊)

■毎年12~1月は正月返上で必死で100冊前後の詩集を読み全作の評を書くことを6年ほど行っています。変に覚醒したような状態で、誤読や非学のための誤りや飛躍等、ご迷惑をお掛けしているかもしれません。 そんなとき『上林俊樹詩文集 聖なる不在・昏い夢と少女』(岡和田晃編)が今日届きました。
 伝説の季刊雑誌「熱月(テルミドール)」の創刊の文がこの本に収められており、こう書かれています。「私たちがめざすのは、あらゆる領野の深部にむけてみずからの〈視線(まなざし)〉を力のかぎりめぐらし、そのより強固で精密な質を獲得しつつ、対象との葛藤を言語表現に結実させていく行為」(「わが魂の暗部からさらなる磁場の創出にむけて」)。
 自分の誤りと葛藤しつつ、何度も読んだ道詩人協会『資料・北海道詩史』ではカバーしきれていない歴史がこの上林俊樹詩文集に詰まっているように感じます。この本で学び、再び詩に向き合いたいと思います。林美脉子、更科源蔵、有土健介、吉本隆明。読者の〈視線(まなざし)〉の強さが試されています。

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