■小樽詩話会の竹内俊一さんが、三冊もの詩集を緑鯨社より、この3月に同時刊行されました!!
詩集『草茫茫』 平成19年から平成23年頃までの作品
詩集『蟋蟀』 平成24年から平成27年頃までの作品
詩集『延齢草』 平成27年から現在に至るまでの作品
三冊を一冊の大作として読むこともできますが、装填が一冊ずつ個性的でアイディアに満ちている。詩群は決して重すぎず絶妙なる深い味わい、道東の旅、文字の追求、飼い鳥《メグ》、苺や薔薇、牡丹の庭の自然、クラシック音楽やジャズ(マル・ウォルドロン「レフト・アローン」)の鑑賞。詩情豊かな竹内さんとの上質な生活を同時体験させて戴くような喜び、日常の思想、人生観、歴史観も。心の拠り所の一つとなり、心より感謝申し上げます。お気に入りの作品がいくつもあります。その中の一つ、ここにご紹介させて戴きます。
帰還(後編)
どれ程の時がたっただろうか
栄枯盛衰
聖者必衰
生者必滅
有為転変
いか程の道のりであったろうか
白髪三千丈
茫然自失
一潟千里
駆けめぐる元の木阿弥
一日千秋
何も変わらず
夢は破れて
心の傷は
腕は萎え
足は重たく
もうどこへも
始まりは終わり
静かな安らぎ
見覚えのある戸を開けると
あったかな微風が
ぐるぐる体に巻きつき
螺旋に回りに回って
百年の夢は
(竹内俊一『蟋蟀』)