詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

「まどえふ」第32号・2019年春(3月1日刊)

■「まどえふ」第32号・2019年春(3月1日刊)、ご恵送賜り、誠にありがとうございます。
 いつか「フラジャイル」も、こちらの「まどえふ」や「くれっしぇんど」「詩邦人」「ZERO」のような作品中心のページ数は薄くて詩質はとっても厚い!詩誌を将来的には目指していく方向であります。
 今号、吉田正代さん「小窓の中に」、アルファベット26文字中の「F」、Free Fly Family Fine 藤学園、前向きで思い出深い言葉、他にも二つ登場する。こんな書き方もあるのですね。
 水出みどりさん「はるかなものを」 ふだん聴こえない音に耳を澄ませるのが詩の役目、言葉が生まれる前の状態を言葉でえがくのが詩の務め、はるかなものに続いていく。
 古根真知子さん「待合室」、病院の時間軸は定型的な繰り返しのように見えて、着実な変化を誘う。「時間は刻々と進んで/私は刻々と変わります」、いつどのように変化したのか、気づかない。しかし、振り返るともう、次の段階へ進んでいる「受付で書いた/問診票は/すでに過去の情報です」「診察室のドアが開いて/人が出て/待ち人が呼ばれ/ドアを開けて入っていく」
 橋場仁奈さんの「悲歌」、いっぽんの木が、雪の結晶を織りなす拡がりのごとく成長する。人生の広がりや家系の壮大な物語のよう。憶い出は「きらきらと別れ別れになって夕べにはまたかえってくる」ものなのですね。美瑛町にあった「哲学の木」の美しい景色を想起しつつ・・・何度か実際に見る機会がありました。イタリアンポプラは寿命を全うしようとしていた。観光客のマナーのこともあり、2016年に伐採された。それは「夕べにはまたかえってくる」「また枝分かれしてのびていく別れ別れになってのびていく」私たちの歩む転生のサイクル、貴重な学びの過程の一つ、そんなことを想いつつ、拝読させて戴きました。

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まどえふ